PET-CT総合がん検診

PET-CT 総合がん検診の実績報告

仙台厚生病院総合健診センターは、一般人間ドックとPET-CT総合がん検診を実施しています。このうち、PET-CT総合がん検診について、その特徴と直近7年間の実績を報告いたします。今回は、多くの方が関心を持っている膵臓がんについても検討しました。これは10年間の実績です。

部位別がん発見数

【Ⅰ】PET-CT検診は、すい臓がん診断に威力を発揮します

 過去10年間で、10例のすい臓がん(1例は転移性)診断の実績があります。1年に1人、また、年間500~600例のPET-CT検診を実施していますが、その中1例の割合です。
 PET-CT総合がん検診では、すい臓がんの診断に資する検査として、PET-CT、腹部MRIとMRCP(MR胆管膵管撮影法)、腹部エコー、腫瘍マーカー(CA19—9、CEA)です。侵襲のない検査を総結集しています。
 それぞれの陽性数は、PET-CT6例、MRI(MRCPを含む)9例、腹部エコー3例、腫瘍マーカー3例です。膵がんはPET-CTかMRIのいずれか、あるいは両者が陽性です。一方、人間ドックで実施される腹部エコーと腫瘍マーカーでは、2例は両者陽性のため、計4例しか診断されません。

【Ⅱ】当センターのPET-CT総合がん検診はがん発見率が高い。直近7年間の実績(2016~2022年度:2023年8月確定)を示します

 直近7年間の受診者は3731人で、そのうち、がんと診断されたのは83人、86がん(3例が重複がん)で、発見率は2.3%となります。ほぼ同時期(2018~2021)に、当センターの一般人間ドックでがんと診断されたのは0.57%で、これと比較するとほぼ4倍の高発見率です。通常のPET-CT検診二日間コースでは、一つの臓器について、3~4種の検査で評価しています。これが診断率の上がる最大の要因と考えられます。高額な検診ですが、その意味がわかる結果です。
(PET-CTがん検診で診断されたがん86例の内訳:胃11、大腸10、食道6、膵8、肝3、肺14、甲状腺5、腎臓2、前立腺10、乳腺4、その他13)

【Ⅲ】PET-CT検査は、消化管が苦手です。だから、上下部内視鏡を同時に実施します

 がん発見者のうち28例が胃など消化管のがんで、胃がん11例中9例、大腸がん10例中7例、食道がん6例中5例および十二指腸がん1例の計22例が内視鏡検査のみで診断されています。一方、PET-CT検査で診断されたのはわずかに3例です。内視鏡検査をしなければ、この22例(全がん中の26%、ほぼ4分の1)は見逃されていたことになります。内視鏡検査なしのPET検診は片手落ちというものです。そのようなわけで、PET-CT総合がん検診では、上下部内視鏡の同日検査を実施しています。

【Ⅳ】当センターは、病院併設です

 皆さんご存知のように、当院は肺がん、消化器がんの専門病院です。当院の守備範囲である肺がんと診断されたのは14例、消化器がんは39例の計53例ですが、肺がんの13例と、消化器がん33例、併せて46例(実に87%)が、当院で速やかに診療開始となりました。

【Ⅴ】当センターからのお知らせ

 PET-CT総合がん検診を受診された方には、次回の検診として、その人に最も適切なコースを提案します。報告書に記してありますので、次回の受診の際参考にしていただきたいと思います。
 2020年より、オプションとして心臓MRI検査を開始しました。今まではスペシャルBコース受診者限定でしたが、好評でしたので、2023年より、PET-CT検診全例を対象に広げることとしました。造影剤を用いずに、心機能と冠動脈の評価が可能です。心疾患が心配な方にお勧めです。