病院について

職員優先主義とは?

「患者様」という言葉が氾濫し、「我々があるのは患者様のため」などという、患者第一主義・患者優先主義の病院標語が一般的な時代となっています。しかし、私たちはあえて逆説的に「職員優先主義」を打ち出して、それを基本に様々な施策を講じて来ました。

それは、医師、看護師を含めた病院職員が元気でなければ患者は救えない!という考えからです。現在、多くの医療職員とりわけ勤務医は、過酷な就労条件の下で働いています。1ヶ月の超過勤務時間が、過労死認定に直結すると言われる100時間超になっている医師も少なくありません※。また、一部の心無い患者さんやご家族からのクレームや暴言・暴力も加わって、疲弊が加速しています。休養も睡眠時間も十分でない医師や、暴言・暴力で心が傷つけられている看護師が増加していくということ、それは医療職員だけではなく、患者さんにとっても大変不幸なことではないでしょうか。

そこで、当院では医師・看護師を十分数確保して、超過勤務時間を労働基準監督署のガイドラインである月30時間以内としました。さらに、5名の医師による当直体制をとって、非番の医師が十分休養できるようなシステムも作りました。また、暴言・暴力に対しては、警察OBの指導を受けながら、一人ではなくチームで対応することにより、心身に傷を負わないよう配慮しました。職員健診を充実させ、職員自身も病気から守るようにしました。このような施策の結果、今や職員は元気いっぱいです。挨拶と笑顔が良いとお褒めにあずかることも少なくありません。地域医療機関からの信頼も得て、全国最高水準の病院稼働率です。24時間救急対応する傍ら、がん患者さんの入院を2週間以上待たせない病院でもあります。すべて、職員が元気だからこそ達成できることです。

ゆえに、“職員優先主義こそは、究極の患者優先主義”というのが、私たちが確信している病院運営方針です。ご理解いただけたでしょうか?

※東京大学医科学研究所「医療崩壊の現状分析と対策に関する考察(平成20年3月)」より