ドクターインタビュー

不整脈科
心臓血管センターとして、
シームレスな連携をする事で
最善な医療を提供

DOCTOR INTERVIEW
不整脈科科長 兼 循環器内科部長 山下賢之介

#01

高度な専門性

2022年4月より、不整脈科として新設されました。
複雑で高度化していく不整脈領域への専門性を高める目的です。

不整脈科として主に対応するのは、
  • 脈が早くなって動悸や息切れを来たす頻脈性不整脈
  • 脈が遅くなってめまいや意識を失ってしまうような徐脈性不整脈
  • 突然死を来たすような致死性不整脈に対する除細動機能付きペースメーカー
  • 重症心不全に対する両心室機能付きペースメーカー植え込み
を取り扱っています。

薬物投与による治療も行いますが、高度先進医療となるカテーテル治療(カテーテルアブレーション)を主として専門としています。不整脈のカテーテル治療は医師だけの力では困難であり、専門知識を持つ看護師、専門機器を扱う臨床工学技士と協力したチーム医療を実践しています。

入院期間ですが、カテーテルアブレーションは2泊から3泊で、ペースメーカ治療は5泊から7泊程度で行なっており、基本的に木曜日以外は全てカテーテル治療日であり、入院日程も立てやすいと思います。

特にカテーテルアブレーションに関しては、一般的な治療としては心臓の内側(心内膜)からの治療では根治困難な心臓の外側(心外膜)に回路を持つ不整脈でも治療が出来る体制が整っておりますので、他院で治療困難と言われた場合にも治療可能な場合がありますので、遠慮なくご相談下さい。

#02

複雑な回路を3Dで可視化し治療

不整脈というと皆さんはどのようなイメージを持っていますか?
胸がドキドキする、苦しくなる、健康診断で不整脈と言われた、といった事から不整脈の事を認識するのではないかと思います。

不整脈の一般的な症状は先に挙げた動悸だけではなく、呼吸が苦しくなる、階段が登れなくなる、胸が痛い、肩が重いなどと多岐に渡ります。重症な方ではめまい、ふらつきから意識を失ったり 、突然心臓が止まり突然死を来たす事もあります。

検脈で診断がつくこともありますが、心電図が常に重要になってきます。心臓は微弱な電気で動いており、その電気の乱れが不整脈を来たすわけです。心電図は字の通り、心臓の電気の流れを図解(可視化)したものとなりますので、当然不整脈も目に見えるわけではありません。百聞は一件に及かず、という通り、目で見て見えないものを理解するのは非常に難解です。

当院では最新の3Dマッピングシステム(CARTO、EnsiteX、Rhythmia)が全て導入されておりますし、治療として通常の高周波カテーテルアブレーションだけでなく、冷凍焼灼治療であるクライオバルーンアブレーションの選択肢も用意しています。そのため、個々の患者さんの不整脈、全身状態に応じて最適な治療を提供する事が可能な状況ですので、他の病院で治療困難と言われ悩んでいる場合でもご相談下さい。

#03

早期診断の有用性

不整脈領域の難しい部分の一つとして診断が挙げられます。やはり目で見えませんし、最終的には心電図が捉えられないと診断がつかない事が大半で、診断が着くまでの間に時間を要することがあります。また、実際診断がついた時点では病気が進行してしまって、治療が難渋する、治療が出来ない、といった状況もあります。

患者さんからしても原因が単一でない事も多い割に症状は強く、医療者からしても不整脈自体は目で見えませんので、診断をする事に苦慮する事も少なくありません。

医学は科学ですから、再現性を持って証明する事が重要で、経験則だけに依存しているのでは不十分です。現在、医用工学/コンピューター分野の進歩により、今まで捉えられなかった不整脈が早期に捉えられ、治療介入する事が出来るようになってきています。

今後はスマートウォッチに代表されるウェアラブルデバイスが続々と導入されてくる事が予測され (スマートウォッチ心電図相談はこちら) 、ますます進化を遂げる分野で知識のアップデートが要求される分野だと感じています。

#04

「選択と集中」「分担と連携」

不整脈という分野を専門としつつも、循環器内科医として心臓領域の知識を欠かさぬよう、不整脈科の医師は皆 循環器内科医師として兼務をしています。

理由として、心臓疾患は常に緊急性を求められる領域であり、急性心筋梗塞に代表される緊急対応が日中夜間問わず出来ることが必須と考えているからです。そのため、日中でも夜間でも急性心筋梗塞を含む緊急冠動脈疾患に遭遇した時も、主治医、術者として冠動脈インターベンション(冠動脈へのステント治療)を不整脈科全ての医師が行います。幅広い治療が出来る事、広い視野を持って治療に当たる事で、重症症例に出会った時の対応に違いも出てきますし、新しい知見にもつながる可能性があるからです。

心臓血管センターとして、心臓血管外科、循環器内科、不整脈科としてシームレスな連携をする事で最善な医療を提供します。また地域医療への連携、貢献という意味も兼ね、石巻にある仙石病院心臓血管センター 宗久雅人先生の元へ隔週でカテーテルアブレーション施行目的に訪問し、遠方で通院が困難な患者さんへも対応していますので、気軽にご相談下さい。

#05

当科への就職を希望される医師へ

国内随一のハイボリュームセンターでの経験は変えがたい財産だと感じます。

医師として生きている上で知識は必須ですが、カテーテルや手術といった手技だけでなく、病棟で多くの患者さんの主治医になって学ぶ経験はハイボリュームセンターならではないでしょうか。教科書で読んだことがあるだけで治療した事のない患者さんの治療は戸惑うことがありますが、そうした事は払拭されるはずです。

基本的に平日は外来以外、カテーテル手術が毎日あり、密度の濃い研修が可能です。また、東北では随一、全国でも有数の症例数からの経験値だけでなく、シュミレーターを用いた研修を積極的に活用する事で、早期より術者としての経験が積める教育を行なっています。出身大学の派閥もありませんし(2022年4月現在の不整脈科の在籍医師の出身大学 三重大学、札幌医大、自治医大、浜松大学、千葉大学)、疑問や意見を言いやすい環境作りをしております。忙しいですが楽しく充実した日々を過ごす事が出来ます。

また循環器内科との協力関係により、不整脈以外のPCI、EVT、SHD、心不全チームの研修も可能ですので、希望に沿った形で研修を行う事が出来るでしょう。私自身、東北には縁もゆかりもありませんでしたが、ドライブ、ランニング、ハイキング、スキー、テニスが出来る環境は東京に住んでいた時とは比べ物になりませんし、仙台は子育ての環境としても良いと思います。興味があればいつでも見学に来て下さい。

経歴

  • 東京都出身
  • 2000年 東京大学理科2類 入学
  • 2001年 千葉大学医学部医学科 入学
  • 2007年 千葉大学医学部医学科 卒業
  • 2007年 昭和大学横浜市北部病院 初期研修医
  • 2009年 昭和大学横浜市北部病院 循環器内科 助教(員外)
  • 2013年 小倉記念病院 循環器内科
  • 2014年 昭和大学横浜市北部病院 循環器内科 助教
  • 2017年 University of Utah, Research Fellow
  • 2019年 昭和大学横浜市北部病院 循環器内科 講師
  • 2021年 仙台厚生病院 循環器内科 主任医長
  • 2022年 仙台厚生病院 不整脈科科長 兼 循環器内科部長
不整脈科科長 循環器内科部長山下賢之介
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