専門治療
診療方針
近年の外科手術では、患者の病状、人生観、ニーズに合致した手術の選択が必要であり、消化器外科医には機能を可及的に温存する縮小手術・低侵襲手術から徹底的に根治性を追求した拡大手術まで、両極端とも言える治療法に対応できる幅広い知識と技量が求められています。
当院では、胃がん、大腸がんに関しては診療ガイドラインに沿った治療を原則とし、内視鏡治療の適応外となる早期がん症例に対しては、低侵襲手術の代表とされる腹腔鏡下手術を積極的に行っています。腹腔鏡下胃切除術は年間80例以上、大腸切除術は年間100例以上となり、2015年には胃がん、大腸がん切除症例の半数以上(55%)が腹腔鏡下手術で切除されています。また、進行胃がんに対しては術前化学療法を、進行直腸がんに対しては術前放射線化学療法を導入し、治療成績の向上を目指しています。 術後補助化学療法が必要でない症例では、当院と登録医の皆様が築き上げた「仙台厚生病院がん診療地域連携ネットワーク(通称:スキップネットワーク)」により、綿密な術後フォローを行っています。
肝胆膵領域の悪性腫瘍に対する手術は、施設により手術技術や周術期管理の質が大きく異なり、それが手術成績に反映されます。また、外科医の手術経験数や診療姿勢によって手術適応が大きく左右される領域でもあります。
当院は日本肝胆膵外科学会高度技能医修練施設A(高難度肝胆膵手術を年間50例以上行っている施設)に認定されており、肝胆膵領域悪性腫瘍に対する手術を年間100件近く行っています。 肝胆膵外科学会高度技能医1名、高度技能指導医2名の専門医3名が常勤し、この領域における東北のhigh volume centerの一つです。手術適応のある進行癌症例に関しては徹底的かつ合理的なリンパ節郭清、他臓器合併切除等に加え、必要があれば心臓血管外科とのコラボレーションの下、主要動脈、大血管の合併切除再建も併施しつつ、あくまで根治切除の可能性を追求する、あきらめない手術を実践しています。
先端医療への取り組み
肝胆膵手術
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肝細胞がんに対する超音波誘導下系統的亜区域切除術
肝切除の基本は系統的切除である。小範囲の切除でも超音波誘導下に系統的切除を行うことを心がけている。
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門脈切除再建先行拡大肝右葉切除術
肝門部胆管がんの根治手術には高度な手術技術が要求される。当院では新しい手術術式も駆使して、症例に応じた適切な手術を行い、良好な成績をあげている。
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膵頭部がんに対する膵頭十二指腸切除術
膵頭部がんでは門脈、上腸間膜静脈への浸潤がしばしば見られるが、積極的に切除再建を行い、切除率および切除成績の向上を目指している。
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膵頭部がんに対する拡大郭清を伴う膵頭十二指腸切除術
神経叢浸潤やリンパ節転移のために拡大郭清を要する症例がある。症例に応じて、必要があれば拡大郭清を行うこともある。
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膵体尾部がんに対する腹腔動脈幹合併膵体尾部切除
膵体尾部がんでは、脾動脈や総肝動脈、そして腹腔動脈への浸潤が見られ切除不能となることがあります。 また、それらの動脈周囲の神経叢への浸潤もしばしばみられるため、腹腔動脈幹を合併切除する膵体尾部切除が最も根治性の高い手術と考え、標準術式として採用しています。
肝細胞がんに対する超音波誘導下系統的亜区域切除術
肝細胞がんの患者さんは、肝機能が不良なことが多く、小範囲の切除しかできないことがしばしばです。小範囲切除でも血管の支配領域にそった系統的切除で、ラジオ波焼灼療法やアルコール凝固療法に勝る根治性を保って切除することが重要です。当院では本術式を採用して、根治性の高い手術を行います。
肝門部胆管がんに対する門脈切除再建先行拡大肝右葉切除術
肝門部胆管がんの根治手術においては、肝門部組織を一括して切除することが根治性を向上させる上で重要です。本術式は、究極の根治手術というべき手術で難易度の高い手術ですが、当院では積極的に適用しています。
医療設備
消化器外科手術室
通常1日に3件、多い時には5~6件の手術をこなします。件数が多くなると手術が時間外に及んだりすることがありますが、当院では極めて能率良く時間配分ができるため、ほとんどの場合、時間内に手術を終了することができています。 外科医の技術が未熟であってはもちろん不可能ですが、それだけでなく、手術室のスタッフとの密な連携が、効率の良い手術室の運用を可能にするのです。
手術器械は病院の方針として、最新式の器械を設備しています。 腹腔鏡下手術用の高性能フルハイビジョンシステム2セット、外科用超音波吸引装置(超音波メス:CUSA)、超音波凝固切開装置、アルゴンビームコアグレーター、ベッセルシーリングシステム、超音波診断装置などなど、いつも最新式の器械を設備するようにしています。
手術患者さんのご家族の希望があれば、手術をリアルタイムに中継しモニターで見て頂いています。「手術は密室で行われる」というイメージは当院にはありません。

4階 消化器外科 病棟
当院で手術を受ける患者さんは、高齢の方が多いだけでなく、特に心血管障害や糖尿病を合併している患者さん達が多く紹介されてきます。また、肝胆膵領域では他の病院で切除不能とされた患者さんが最後の砦として紹介されることがしばしばあります。
そのため、術前術後の管理が他の病院に比べて大変なことが多いのです。術前術後に不安を抱えている患者さんが多いため、看護スタッフの役割は極めて重要です。医師と看護師が密に情報共有を行って、患者さん達が1日も早く元気に退院できるよう努力しています。
病棟主任の言葉
4階消化器外科病棟で働く私たち看護師は、平均年齢約26.5歳の若さあふれる仲間で、「明るく楽しく」をモットーに日々患者さんのケアにあたっています。年間900例を超える手術患者さんが元気に退院していく姿にやりがいを感じています。仲間意識が強く、患者さんからの信頼も厚いと自負しています。 また、プロフェッショナル・ナースとしての自覚も持っています。4階消化器外科病棟は笑顔の絶えない、明るく楽しい病棟です。
講師派遣
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2012年度
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転移性肝癌に対する外科治療 大腸癌肝転移に対する治療戦略山内 淳一郎(仙台医療懇話会)
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腹腔鏡下胃切除-体腔内吻合法-安食 隆(サージカルフォーラム秋田)
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患者さんの紹介について
救急患者さんをご紹介いただく場合
通常勤務時間帯は各科外来、休日・夜間等は当直師長が対応致します。
通常のご紹介の場合
外来診療におけるスケジュールは下記の通りとなっております。受診される場合は紹介状(診療情報提供書)と保険証をご持参の上、病院本館1階医事課新患窓口にお越しください。
診察受付時間 9:30~11:00 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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