診療科

肝臓内科

専門治療

診療方針

肝臓内科では、登録医の先生方や全国の病院から紹介頂いた患者さんを正確に診断し、最新の治療法と高い技術を駆使してより良い治療を行うことを目指しております。患者さんのフォローアップについては登録医の先生方と連携しながら行っていきたいと考えております。

目まぐるしい進歩を遂げているB型、C型肝炎の最新治療を行うとともに、現在、増加傾向にある脂肪性肝障害の治療にも力を入れております。難治性肝疾患と言われる自己免疫性肝炎(AIH), 原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診断、治療や原因不明の肝障害についても診断、治療を行います。 肝がんの外科治療に加え、肝がんの内科的治療も日々進歩しており、手術が出来ない様な症例に対し、最新の機器を用いたラジオ波焼灼療法(RFA)、マイクロ波凝固療法(MWA)や経皮的肝動脈化学塞栓療法(TACE)、肝動注化学療法(HAIC)も積極的に行っております。消化器外科や放射線科との連携により患者さんの状態に応じて適切な治療方法を選択出来ます。

当院では肝炎から肝硬変、肝がんという疾患進展の流れの中で、いずれのポイントにおいても切れ目なく最新治療が可能です。

インターフェロンを用いないC型肝炎治療

近年、飲み薬のみでC型肝炎ウイルスの排除が可能となりました。これまでの治験、臨床、基礎研究の経験を生かし、患者さんに適した治療方法を選択して、治療を行います。

比較的容易にウイルスを排除することが可能となりましたが、ウイルスが消えたあとも、肝がんの発生が高率におこることが知られておりウイルス消失後の適切なフォローアップを連携病院とともに行って参ります。

ウイルス排除後(SVR後)のフォローアップの必要性
肝硬変への進行、肝臓がんを予防するためのB型肝炎治療

B型肝炎は状態により、適切な治療を受けることが重要です。最近は耐性ウイルスが出現しにくい核酸アナログ製剤(テノホビル、エンテカビル)も使用可能です。また、ペグインターフェロンを用いることにより自分の免疫力でウイルスを抑え込む治療も選択可能です。

脂肪性肝障害の治療

脂肪肝と診断された患者さんの10-20%は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であると言われており、肝硬変、肝がんへ進展することが知られております。実際、脂肪性肝障害によると考えらえる肝がん患者は増加してきています。

当院では、我々が独自に考えた栄養割合の食事療法を導入することにより、肝機能正常化を目指すことが可能できます。管理栄養士との連携により、無理なく体重の減量が可能です。栄養療法が奏功しない場合は、薬物療法の導入も行って参ります。また、患者さんにより、新規治験に参加することも可能です。

肝がんの治療

肝腫瘍の治療法には、①手術、②ラジオ波焼灼(RFA)/マイクロ波凝固療法(MWA)、③アルコール凝固、④経カテーテル治療(TACE、HAIC)、⑤放射線療法、⑥分子標的薬(レンビマなど)⑦免疫チェックポイント阻害剤治療など、種々の治療法がありますが、大事なことは、適切なタイミングで、適切な治療を、それぞれの治療法に精通した医師が行うことです。

肝臓内科では、豊富な経験をもとにこれらの治療を組み合わせながら集学的治療を行うことにより、治療成績が向上するのではという試みがなされております。

次世代マイクロ波テクノロジーテクノロジーとは
ラジオ波焼灼療法(RFA)
その他の難治性肝疾患

ウイルスやアルコールなど原因がはっきりしない肝炎は診断に苦慮することが多々あります。その場合は、肝生検が必要になります。また、その生検の結果を正確に読む病理医の存在も欠かせません。

当院においては病理診断科と連携して自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、薬物性肝障害の診断、加療を行って参ります。

先端医療への取り組み

肝がんの先端的な治療

System‐i (システムアイ) /ReMAPによるTACE、HAIC

肝癌の治療法の一つである動注リザーバーを用いた肝動注化学療法は、局所療法が適応とならない患者さんに対する治療法の一つで、動脈に入れたカテーテルから抗癌剤を注入し、肝臓に直接抗癌剤を投与する方法です。従来の方法では、入院期間が長期化し、また腫瘍の大きさや腫瘍の部位によって治療が困難となる場合があるなどの欠点がありました。この新規リザーバーシステム(System‐i /ReMAP)は従来の肝動注療法の欠点を克服し、個々の患者さんの腫瘍の状態に応じ、細かなオーダーメード治療を行うことのできる治療法です。

新しい動注リザーバーシステムは、System‐i(システムアイ)またはReMAPと呼ばれ、経皮的にマイクロカテーテルを挿入することが可能な皮下埋め込み式の特殊リザーバーです。System‐i(ReMAP)では、治療毎に標的とする動脈を確認し、マイクロカテーテルを用いて標的となる動脈を選択して、治療を行うことが可能です。このシステムを用いることで、従来の方法では治療に難渋する巨大な肝細胞癌や、肝臓の機能が不良な場合などでも選択的に治療が可能となり、また、これまで長期入院でしか出来なかった治療を短期入院で行うことも可能となります。


System-i(ReMAP)からの治療の流れ

この治療法は施設によっては高難度新規医療技術にも認定されていますが、当院の医師は、TACE、HAIC、リザーバー留置術について習熟しており、当院は東北で唯一のsystem-i/ReMAP治療が行える施設です。
 また近年は、通常TACE、HAICの際は腕からのアプローチにより、患者さんのQOLを保ちながら治療を行うことを積極的に行っており、安静が難しい高齢者の患者さんにも、治療を行うことが可能です。


簡易リザーバーからのNew FP療法

当院では肝動注化学療法(HAIC)を施行する場合は、system-iのほかに左上肢からの簡易リザーバーを用いてHAICを施行しています。通常リザーバーの場合は、皮下への埋め込みが必要であるため処置時間が長くなる傾向にありますが、この簡易リザーバーは埋め込み不要であるため通常リザーバー留置の1/3程度の時間で処置が可能です。また、治療後は抜去するため退院時には2mm程度の傷しか残らず体への負担が最小限になります。
 当院では、上記の簡易リザーバーからNew FPと呼ばれる新しいレジメンのHAICを施行しています。New FPは従来のHAICよりも高い奏功性が報告されており、特に癌が門脈や静脈に浸潤している進行肝癌に効果が高い治療法です。この治療法は高い奏効率を有する一方、治療者がカテーテル技術の習熟と十分な肝臓疾患の知識のどちらも必要とする治療のため、施行できる施設は東北では、当院を含めてわずかしかありません。


写真:簡易リザーバーからのNew FP療法


負担の少ないラジオ波焼灼術/マイクロ波焼灼術の取り組み

肝癌は早期発見する事で、根治が可能です。RFAは、ラジオ波により熱を発生させて、腫瘍を焼灼する治療法です。簡単に言い換えると、熱で癌細胞を死滅させる治療法になります。超音波で肝臓内の腫瘍を見ながら、針を穿刺して、焼灼を行います。焼灼中は鎮静剤や鎮痛薬を注入して、なるべく負担の少ない治療を行っています。治療終了3時間後には歩行も可能になります。なお、当院では、以下のような最新の治療装置と治療支援機器を導入し、安全で確実な治療を行っております。

  • Applio i 800
  • fusion imaging併用
  • 造影エコー併用
  • 人工胸水・人工腹水併用
  • 2 step and multi puncture method
次世代マイクロ波テクノロジーテクノロジーとは

医療設備

最新医療設備

最新のRFA/MWA治療機器と最新のエコー機器が導入されております。CT画像とエコー画像を同時に見ることが出来るフュージョンシステムやRFA穿刺のナビゲーションシステムが導入されております。

講師派遣

  • 特別講演
  • その他

患者さんの紹介について

救急患者さんをご紹介いただく場合

通常勤務時間帯は各科外来、休日・夜間等は当直師長が対応致します。

通常のご紹介の場合

外来診療におけるスケジュールは下記の通りとなっております。受診される場合は紹介状(診療情報提供書)と保険証をご持参の上、病院本館1階医事課新患窓口にお越しください。
予約が必要な診療科に患者さんをご紹介される場合は、事前にFAX連絡票をお送りください。

診察受付時間
8:30~11:00