診療科

消化器内科

専門治療

先端医療への取り組み

早期消化管癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

食道・胃・大腸の早期消化管癌に対して積極的に内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection; ESD)を施行しております。この治療は消化管壁の内側を内視鏡で剥離する治療で、患者さんの負担が少なく、術後の回復が早く優れた治療法です。臓器毎に内視鏡治療単独で根治できる癌の条件が決まっており、早期消化管癌の一部を根治できます。本治療が適応になるかどうかの診断にも重きを置いており、最新の高精細な内視鏡を用いて、それぞれの腫瘍に対する治療方針を適切に決定できる様、日々研鑽を積んでおります。

ダブルバルーン小腸内視鏡


ダブルバルーン内視鏡 EN-840T(小腸) (画像提供:富士フイルム株式会社)

小腸は、口からも肛門からも距離があり、長さも数メートルあるため、従来内視鏡検査が困難であり、暗黒大陸と呼ばれていました。近年、スコープ先端とスコープ外筒先端にバルーンを装着して、小腸をたぐり寄せ縮めながら挿入するダブルバルーン内視鏡が考案され、当院でも2004年に東北地域で最初に導入し、診断・治療に活用しています。 その結果、小腸にもびらん・潰瘍や血管病変をはじめ腫瘍性病変や炎症性病変など様々な病変が認められることが分かってきております。

カプセル内視鏡

小腸疾患診療にあたり、もう一つの大きな進歩としてカプセル内視鏡がありますが、当消化器内視鏡センターでも、2006年7月より東北地方で初めてとなる小腸用カプセル内視鏡システムを導入しました。

このシステムは2001年米国で発売されて以来、欧米を中心として世界60カ国以上で販売され、累積使用数は60万症例以上となっています。わが国でも2007年10月より保険診療が認可され、患者さんにとってほとんど苦痛がなく、小腸における病変を検出することができ、ダブルバルーン小腸内視鏡検査と相補的に小腸疾患の診断に必要な画像を確保できる検査法です。

朝にカプセル内視鏡(長さ26mm、幅11mm)を飲んでいただき、毎秒2コマの写真を撮影し電波で送信し、装着したセンサーで約8時間記録します。その後画像データを解析システムにダウンロードして画像診断を行います。最新のカプセル内視鏡は画質の向上だけでなく、カプセルの進むスピードに合わせて、撮像枚数を変えることで、バッテリー時間を長く保ち質の高い検査が可能になっています。

カプセル内視鏡検査は今後ますます増加すると考えられる小腸疾患の診断に、非侵襲的で(負担が軽く)有用な検査法です。カプセル内視鏡検査は、消化管出血例で上・下部内視鏡検査で病変がない場合に有力な検査法となります。小腸出血以外にも狭窄を伴わない炎症性小腸疾患、小腸腫瘍性疾患、消化管ポリポーシスなどが疑われる場合にはカプセル内視鏡検査の対象となります。

(保険適応:上・下部内視鏡検査で出血源不明の消化管出血)

胆膵内視鏡治療

急性胆管炎、総胆管結石や閉塞性黄疸に対する内視鏡治療
最新の内視鏡システムを用いることや、さまざまな工夫を行うことで、一度の処置で98%以上の胆管挿管を行うことができるようになりました。同時に処置関連の急性膵炎やその他の有害事象を減らすことも可能になり、またX線装置は低線で治療を行っているため、患者さんに対する被ばく量は従来の1/10まで減らすことができました。

超音波内視鏡(EUS)診療

EUSを用いた精度の高い診断に加え、胆管、膵仮性嚢胞、膵管、胆嚢などのドレナージ治療にも対応しております。胃、胆管や膵臓の手術後の難しい症例においても、バルーン小腸内視鏡と組み合わせることで、高い処置完遂が可能になっています。また肝胆膵外科との連携を密に行い、IPMNや嚢胞性膵腫瘍などの治療についても、スムーズな診療を提供しております。

消化管ステント留置

食道、十二指腸や大腸狭窄症例に対して精度の高いステント留置を行っています。比較的難易度が高い治療ですが、多くの経験を持った医師により安全で確実な治療を行うことができます。

機能性消化管疾患

過敏性腸症候群(IBS)や機能性ディスペプシア(FD)などの機能性消化管疾患について治療を行っています。内視鏡や画像検査などで消化管の異常が見られないにもかかわらず、腹痛や不快感、またそれにともなう便性状(軟便、硬便)異常などの症状を引き起こします。

まず、がんやポリープ、炎症性腸疾患など似た症状を呈する疾患や、内分泌系異常の可能性などを除外していきます。そのうえで、機能性消化管疾患と考えられる場合、個々の症状や状態に応じて治療を行っていきます。 機能性消化管疾患は、腸と脳の相互関係(脳腸相関)が密接に関連することが知られており、ストレスや心理的要因が病態に関与していることが少なくありません。症状の背景に中枢神経系の影響が強く疑われる場合には、心療内科や精神科へ紹介させていただくことがあります。

当院では、患者様一人ひとりの症状に寄り添い、最適な治療法を提案することを目指しています。腹部の不快な症状にお悩みの方はご相談ください。

患者さんの紹介について

通常勤務時間帯は各科外来、休日・夜間等は当直師長が対応致します。

通常のご紹介の場合

外来診療におけるスケジュールは下記の通りとなっております。受診される場合は紹介状(診療情報提供書)と保険証をご持参の上、病院本館1階医事課新患窓口にお越しください。

※上部内視鏡検査は来院日に検査受診が可能です。FAX連絡票でお申し込みください。
FAX送信先:022-728-8703 地域医療連携室
また、お急ぎの場合は、直接消化器内科外来へお電話ください。(代表:022-728-8000)

診察受付時間
8:30~11:00