病院について

令和6年度 仙台厚生病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 86 241 396 948 2,114 3,611 6,096 4,172 1,159
 県内だけでなく県外の医療機関からも多くのご紹介を頂き、さらに救急患者さんも積極的に受け入れているため、当院には幅広い年齢層の患者さんが入院しています。
 10歳・20歳代では自然気胸、肺炎などの入院が、30歳・40歳・50歳代では心房細動などの不整脈や多発結腸ポリープ切除術などでの入院が多くなっています。
 当院において、60歳以上のご高齢の患者さんも多く、肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌など悪性腫瘍での入院が増加します。また、循環器疾患では、心房細動、狭心症、心臓弁膜症、腹部・胸部大動脈瘤などによる入院が多くなっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 検査入院(肺生検)あり 531 2.43 3.03 0.19% 71.46
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 検査入院(終夜睡眠ポリグラフィー)あり 315 2.00 2.02 0.00% 58.05
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし、処置なし 234 12.02 16.40 6.41% 84.41
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし、処置なし 193 16.07 20.78 21.76% 85.74
040110xxxx00xx 間質性肺炎 処置なし 179 16.83 18.68 7.26% 76.30
 肺癌:呼吸器内科では肺癌の患者さんが最多です。気管支鏡検査(迅速細胞診も可能)入院や化学療法、放射線治療目的の入院などがあります。化学療法は、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害療法や殺細胞性抗がん剤治療など併用療法を含めて幅広く行っています。その中で、診断のための気管支鏡検査は毎年500件前後施行しております。
 睡眠時無呼吸症候群:簡易検査などで、睡眠時無呼吸症候群が疑われた方が、睡眠時ポリグラフ検査(PSG)にて睡眠中の呼吸状態の評価を行うための入院です。祭日・土・日曜日も検査入院は可能です。評価によって、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)や下あごを前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)を使用して治療することもあります。
 間質性肺炎:慢性的な進行や急速に症状が悪化する(急性増悪)時に治療を目的とした入院があります。治療としては、急性期から慢性期まで幅広く、画像や症状など多面評価をして抗炎症薬や抗線維化薬などを検討していきます。特に令和4年度から、気管支凍結生検(クライオバイオプシー)の導入を開始し、病理所見を加えることで、より治療がスムーズに出来るようになってきております。抗線維化薬導入入院も始めております。
 肺炎・誤嚥性肺炎:24時間体制で救急医療にも力を入れておりますが、急性呼吸器疾患の中で、特に緊急入院の中で最も多数の症例数を占めております(肺炎は緊急入院225件:約96%、誤嚥性肺炎は緊急入院189件:約98%)。適切な抗菌薬を投与しながら、できるだけ、全身状態を低下させないように心がけながら、治療にあたっております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除・区域切除・肺葉切除等)あり 160 7.89 9.82 0.00% 68.68
040200xx01x00x 気胸 胸腔鏡下肺切除術あり 81 6.79 9.59 0.00% 29.78
040200xx99x00x 気胸 手術なし、処置なし 30 5.83 9.28 0.00% 39.43
040310xxxxxxxx その他の呼吸器の障害(肺内炎症性腫瘤等) 12 7.42 10.67 0.00% 60.17
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術(開胸、胸腔鏡下含む)あり - - 8.41 - -
【低侵襲手術について】
 当科では、肺病変および縦隔(肺にかこまれた胸部中央の領域)病変の外科的治療を担当しております。特色としましては、年間の9割以上の症例で胸腔内の状況を胸腔鏡と呼ばれるカメラを使用してテレビモニターに映し出し、それを見て手術を行う“完全胸腔鏡下手術”を行っている施設であることです。脇の肋骨の間に3カ所の小さな創部だけで手術を行っており、“低侵襲”な方法であると同時に、カメラを見たい部分に近づけることで拡大視することができるため“安全”な手術であります。これにより患者さんの負担が少なく、回復が早く、より早期の社会復帰を目指せるという大きなメリットとなります。術者のみならずカメラ操作を行う助手にも技術が必要ですが、当院ではこの方法を東北地方においていち早く取り入れたことで、ここまで十分な実績と経験を積んでおり、安心して沢山の患者さんにその治療を提供できると考えております。
 また、ロボット支援下手術も導入しており、着実にこちらも実績と経験を積み重ねております。ロボット支援下手術では創部の数自体こそ5カ所に増えますが、各創部は8~12mmと小さなものでありますし、術後長く苦しむ方が時におられる肋間神経障害が胸腔鏡下手術よりも発生しにくいとされ、これは患者さんの長期的な生活の質の向上に寄与しうるものと考えられます。術者としましては、2D平面画像の胸腔鏡下手術に対して3D立体視が可能であること、手振れ補正があるためより緻密な操作が可能なこと、カメラ操作を術者本人が行えることなど、手術操作の面においてもメリットがあります。
 患者さんの病状をしっかりと考慮した上で、これまでの胸腔鏡下手術に加えて、ロボット支援下手術という選択肢も提供できるようになっておりますので、手術方法に関しましても遠慮無くご相談ください。
 
【原発性肺癌について】(『肺の悪性腫瘍 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術等あり』に相当します)
 原発性肺癌では、腫瘍の病状と患者さんの全身状態に応じて、手術内容(切除範囲)を決めています。一番多い方法は、現時点での原発性肺癌に対する標準術式である「肺葉切除」で、これをほとんどの患者さんに対して、「完全胸腔鏡下」ないし「ロボット支援下」にて安全に行い、早期社会復帰を実現しております。
 一方、肺は再生しない臓器であり、切除したら切除した分だけ確実に肺活量が減少しますので、原発性肺癌でも病変が早期と考えられる場合や、ご高齢の場合、あるいは呼吸機能が悪い場合などでは、術後の肺活量を温存する=術後の生活の質を少しでも損なわないために、切除範囲を少なくした“縮小手術”である「部分切除」や「区域切除」も積極的に行っています。他臓器癌の肺転移に対しても、積極的に切除を行っております。ご高齢や呼吸機能が悪い状態でも、可能な手術方法を検討して提案いたします。
 さらに、癌の治療は手術で終わりではなく、必要に応じて当院呼吸器内科で術後の補助化学療法の追加施行を考慮し、切れ目のない治療を提供しておりますので、是非安心して当院にいつでもご相談ください。
 
【気胸について】(『気胸 胸腔鏡下肺切除術あり』・『気胸 手術なし、処置なし』に相当します)
 肺嚢胞性疾患(気胸など)の入院も多く、ほとんどが胸痛・呼吸苦などの突然の症状が出ます。肺嚢胞性疾患(気胸など)のうち約65%は気胸の患者さんです。当院呼吸器センターでは24時間体制での受け入れ体制をとっておりますので、いつでも安心して受診ください。
 また、気胸は肺の一部が破れることで発症する病態であり、手術を行わなくとも破れた穴が自己治癒で塞がればとりあえず改善しますが、初発の方で手術による原因部分の切除を行わない場合の再発率が50%と高率であり、再発の方ですと更にその確率は上昇しますので、原因部分の切除は重要な治療です。当院では気胸の全患者さんに低侵襲な完全胸腔鏡下手術を行い、早期に通常の生活に安心して戻れるように貢献しております。
 当科は毎日手術室を使用でき、また優秀な麻酔科医師や手術室スタッフの協力もあり、手術を行うとなれば一日でも早く行えるような環境にあることも、患者さんの早期社会復帰に寄与できると考えております。
 さらには、気胸は大半が20歳前後の若年男性に発生するのですが、この年代は高校生や大学生といった学生です。そのため、一旦手術を回避して改善を得られたとして、その後夏休みなどの長期休暇を利用しての手術希望などにも柔軟に対応しておりますので、どうぞご相談ください。
 
【肺癌が否定できない肺のしこりについて】(『その他の呼吸器の障害(肺内炎症性腫瘤等』に相当します)
 様々な検査で肺にしこりが発見され、肺癌が否定できない方にも診断および治療を兼ねた手術を行っております。限局した肺炎の跡(炎症性肺腫瘤)や、特殊な細菌による感染(肉芽腫)が見つかる場合があります。肺癌とは違い、元来良性疾患ですので、出来うる限り切除範囲は最小限に留めることで、術後の肺活量を温存する手術方法を考えます。切除した肺の中に目的である腫瘍を確認して、これを手術中に病理専門医に依頼して、顕微鏡検査で細胞レベルでの診断を確認しております。手術で病変を切除し、またこの場合は良性であることが確認されますので、不安のない術後の生活をお過ごし頂いております。
循環器内科・不整脈科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術(ABL)あり 920 3.31 4.47 0.00% 65.00
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし、処置なし 648 2.29 5.64 0.77% 69.99
050050xx0203xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等あり、心筋シンチグラフィー検査あり 506 6.17 9.19 0.59% 71.77
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル検査あり 321 2.46 3.07 1.25% 68.90
050210xx97000x 徐脈性不整脈 ペースメーカー移植術等あり 260 7.10 9.59 3.46% 78.63
頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術(ABL)あり
 心房細動に対しABLを施行している患者が749件(約81%)あり、その他の疾患としては心室頻拍や心室期外収縮等に対するABL施行がありました。平均在院日数は3.31日と全国平均に比べて短く、また転院率は0%と全て当院で治療が完結しています。

頻脈性不整脈 手術なし、処置なし
 緊急入院として638件(約98%)あり、薬物療法による加療や経過観察入院がありました。

狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等あり、心筋シンチグラフィー検査あり
 経皮的冠動脈ステント留置術:心臓に栄養を送っている血管を冠動脈といいます。虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は冠動脈が狭くなり、充分な血液が心臓にいきわたらなくなる病気です。経皮的冠動脈ステント留置術とは狭くなった冠動脈を拡げる治療法です。ステントという金属製の網状の筒を冠動脈内に挿入し、狭くなった血管を内側から支えます。この治療により心臓に充分な血液がいきわたるようになります。当科で最も力を入れている分野です。
 急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈ステント留置術:急性心筋梗塞とは冠動脈が急に、そして完全に詰まってしまう病気です。そのため治療が遅れると死に至ることが多く、緊急で治療を行う必要がある疾患です。治療方法は、先ほど説明した経皮的冠動脈ステント術です。病状は分単位で変化しますので一刻も早い治療が必要になります。そのため、患者さんの緊急受け入れ態勢が整っている必要があり、当科ではその受け入れを365日・24時間体制で行っています。
 また、病院搬入から冠動脈を再開通させるまでの時間は病院ごとに差があり、当科ではこの時間短縮を目標として掲げ、治療を行っております。

狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル検査あり
 狭心症は、心臓に栄養を送っている血管が細くなることで十分な血液が心臓にいきわたらなくなり、心臓機能の低下をきたす疾患です。狭心症の診断のためには冠動脈CT検査とともに心臓カテーテルによる精密検査が必要です。当科ではこれらの診断、治療に力を注いでいます。検査は患者さんの負担を減らすため、手首からカテーテルを挿入する方法をとっています(検査後安静が必要になります)。苦痛のないカテーテル検査を目指しています。

徐脈性不整脈 ペースメーカー移植術等あり
 ペースメーカー移植術142件(内60件がリードレスペースメーカ移植術)でした。ペースメーカー交換術55件、その他に植込型除細動器移植術・交換術等がありました。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) 弁置換術、または弁形成術あり 中心静脈注射あり 123 19.18 20.84 0.81% 65.36
050161xx01x1xx 大動脈解離 人工血管置換術等あり 中心静脈注射あり 72 25.40 29.35 16.67% 68.06
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術あり 57 8.65 10.18 3.51% 74.02
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 大動脈バイパス移植術等あり 中心静脈注射あり 38 20.55 21.11 2.63% 69.42
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術あり 中心静脈注射あり 21 21.10 27.01 9.52% 64.71
①弁膜症・弁形成術 弁置換術 小開胸弁形成術置換術
 心臓には4つの弁があり、この弁が狭くなる、あるいは逆流をおこすために心臓に負担がかかっている状態を弁膜症といいます。坂道を歩いてのぼる時などに、息切れ・動悸などを自覚するようになります。当院では、循環器内科で患者さんの病状の評価を行い、内科外科の垣根なく、治療のタイミング、外科手術か、カテーテルによる弁膜症手術かを検討し、適切な治療法を提案致します。手術用ロボット、胸腔鏡を用いた小開胸アプローチの心臓手術が主となっており、より早期の日常生活への復帰を可能にしています。

②解離性大動脈瘤 オープンステントグラフト併用人工血管置換術
 急性大動脈解離は突然に激しい胸背部の痛みで発症します。大動脈の壁に亀裂が入り、竹を割るように全身の大動脈に亀裂が進展する病気です。心臓に近い大動脈は解離した場合、重篤で、解離が進展する血管の枝によっては、心筋梗塞、脳梗塞、消化管壊死、下肢虚血、下半身麻痺を併発することがあります。早急な診断と治療なしに生存することはできません。
 心臓に近い大動脈に解離があるA型解離では救命目的に緊急に開胸、人工血管置換術を行うことが必要です。全身の大動脈が広範に解離している場合も、当院ではステントグラフトを併用してできる限り、広い範囲を治療することで治療の完成度を高めています。背中側の大動脈解離のB型の場合、ステントグラフト内挿術を行うことで破裂、臓器障害を治療して救命します。早期対応が生死を分ける疾患です。当院では循環器内科、および心臓血管外科が24時間常勤して救急対応ができる体制をとっています。

③⑤非破裂性大動脈瘤(人工血管置換術、ステントグラフト内挿術)
 大動脈瘤の中で主として動脈硬化のために血管が弱くなり、膨らんでくる動脈瘤を真性大動脈瘤といいます。大動脈が拡大しても無症状であることが通常ですが、破裂すると直接命に関わります。大動脈瘤の大きさ、形状から判断して適切なタイミングで予防的に治療する必要があります。
 大動脈の手術は開腹または開胸でアプローチして瘤化した大動脈を人工血管に取り替える手術(人工血管置換術)と形状記憶合金のバネ付きの人工血管を瘤の中に留置するステントグラフトを内挿、留置する手術(ステントグラフト内挿術)があります。人工血管置換術は、人工心肺装置を用いる手術で、脳血管、腹部分枝血管の分岐する部位の大動脈瘤の場合に適応になります。ステントグラフト内挿術は低侵襲であるため、瘤の位置、脳血管等の分枝との位置関係で条件を満たす場合適応となります。どちらの治療法を行うか。動脈瘤の形態、患者さんの体力、年齢等から慎重に検討して行っています。

④冠動脈バイパス移植術
 狭心症や心筋梗塞の診断は循環器内科で行い、カテーテル治療か冠動脈バイパス手術をそれぞれの患者さんの状況に応じて適切な選択を行なっています。当科では両側内胸動脈、腕の動脈を積極的に使用し、長期のグラフト開存率を考えた手術を行うようにしています。また、人工心肺を簡略化したミニポンプを使用することにより、たとえ、心機能が低下した患者さんに対しても安全に多くの枝にバイパスすることを常に考え、治療を行っています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術あり 2,104 1.79 2.57 0.05% 66.74
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術あり 266 6.52 7.45 0.00% 72.78
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石・胆管炎 内視鏡的胆道ステント留置術等あり 222 7.18 8.88 3.60% 74.00
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 138 5.72 7.60 0.00% 68.01
060035xx03xxxx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 120 5.77 6.39 0.00% 67.95
【当院の特徴:苦痛の少なく精度の高い内視鏡検査・治療】
 消化器内科では全消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)と胆道(胆嚢・胆管)や膵臓の検査・治療を行っております。
 内視鏡検査時には積極的に鎮静剤を使用し、苦痛の少ない検査を提供しています。また、経鼻内視鏡や飲み込むだけのカプセル内視鏡(小腸用、大腸用)や前処置や検査が楽な仮想内視鏡検査と言われている大腸CT検査を導入しています。
 当科では、迅速かつ正確で安全な内視鏡検査を心掛けています。お腹を切らなくても済む内視鏡治療が可能な段階で癌を発見するために、最新式ハイビジョンカメラや拡大機能、特殊な光(NBI)、色素などを用いて、精度の高い検査を実施しています。更に最大倍率が520倍まで可能な超拡大内視鏡も上部・下部内視鏡検査ともに導入しています。また、発見された癌に対して超音波内視鏡という腫瘍の断面の画像が得られる内視鏡を使い、内視鏡治療のためにより精度の高い検査を実施しています。
 早期胃癌や早期大腸癌では内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)を積極的に多数行っています。近年大腸ポリープ・大腸癌が非常に増加傾向にありますが、小さな大腸ポリープは外来や日帰り入院で大腸検査時に内視鏡切除も可能となっています。
 また、診断や治療が難しい胆道・膵臓疾患に数多く取り組み、超音波内視鏡下穿刺吸引法などの最新の検査・治療を用いて胆道・膵臓の治療に役立てています。胆管領域では緊急性の高い総胆管結石による閉塞性黄疸や胆管炎に対して、緊急内視鏡による治療(内視鏡的乳頭切開術や胆道ステント留置術など)を行っております。
 さらに胃・十二指腸・大腸、小腸を含めた炎症性疾患や憩室性疾患、消化管出血の診断・治療を数多く受け入れています。特に、上下部内視鏡検査をしてもどこから出血したかわからない消化管出血(原因不明消化管出血)は小腸からの出血の可能性があり、小腸内視鏡検査を施行している施設以外は診断・治療が困難です。当科は東北地区でも最も早く小腸バルーン内視鏡・小腸カプセル内視鏡を導入し、小腸疾患の検査・治療を多数行っています。
 胃・十二指腸潰瘍出血、食道静脈瘤破裂、大腸憩室出血、小腸出血など、消化管出血は緊急性が高いため、24時間対応できる体制を整えています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸悪性腫瘍切除術等(開腹、腹腔鏡下含む)あり 172 14.03 14.81 0.58% 71.43
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術あり 143 5.85 7.05 0.70% 62.03
060330xx02xxxx 胆嚢疾患 (胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術あり 120 5.83 5.99 0.00% 60.59
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術(開腹、腹腔鏡下含む)あり 70 16.69 18.48 1.43% 70.39
060040xx0300xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 直腸切除術 (開腹、腹腔鏡下含む) 等あり 43 13.93 14.91 0.00% 65.81
 消化器外科では、食道から胃、小腸、結腸、直腸までの消化管や、肝臓・胆道・膵臓などの腹腔内臓器に発生した病変に対する手術を行っています。高度に進行した悪性疾患(がん)、早期のがん、良性疾患など、さまざまな疾患が手術の対象となります。
 悪性腫瘍では、胃癌や近年増加が著しい大腸癌(結腸癌と直腸癌)に対して多くの手術を行っています。良性疾患では、急性胆嚢炎や胆嚢結石症などで胆嚢を取り除く手術(胆嚢摘出術)が多くなっています。
 当科はこれらの手術では、高性能カメラをお腹に挿入し、お腹の中をモニターに映しながら手術を行う腹腔鏡下手術を第一選択としています。カメラを入れるための2cm程度の傷が1カ所と、1cm程度の傷が3-4カ所だけで大部分の手術を行うことができます。傷の痛みが少なくリハビリが進むため、術後の回復が早いことが特徴です。さらに、2024年から胃癌と直腸癌に対してはロボット支援下手術も導入しています。
 患者さん一人ひとりの疾患、病状にあわせて、最適の治療方針を提案し、提供していきます。
肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx03xxxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 肝動脈化学塞栓術(TACE)あり 162 10.98 10.22 0.00% 73.30
060050xx04xxxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) ラジオ波焼灼療法(RFA)等あり 114 7.15 7.32 0.00% 73.77
060050xx99000x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 手術・処置なし 34 7.47 8.13 0.00% 74.00
060270xx99x0xx 劇症肝炎、急性肝不全、急性肝炎 手術なし 32 9.84 11.41 6.25% 54.19
060300xx9900x2 肝硬変 手術・処置なし Child-Pugh分類C(10点以上15点以下) 24 11.33 15.08 4.17% 68.33
肝細胞癌( ラジオ波焼灼療法 肝動脈化学塞栓療法 化学療法)
 肝細胞癌の内科的治療の主力である肝動脈化学塞栓療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法を、全国の他病院と比較しても多くの件数を施行しており、かつ件数が偏ることがなく行えているのが当院の特徴であります。2020年より免疫チェックポイント阻害剤が使用出来るようになり、治療の選択肢が増加しました。巨大な肝細胞癌や肝細胞癌破裂など状況の悪い患者さんも多く紹介されてきますが、適切な治療を導入することで予後の延長やQOLの向上に繋がっています。また、治療患者さんは全体的に高齢であるにも関わらず、状態が改善してから退院を促しているため、転院率も低く抑えられています。そして肝動脈化学塞栓療法は肝細胞癌進行症例では、持続肝動注療法と併用で行っているため平均入院期間は約11日間(肝動脈化学塞栓療法単独の場合は約7日間)となっています。
 
急性肝炎
 様々な原因で発症する急性肝炎ですが、当院では発症原因を速やかに特定し、ステロイドパルス療法を始めとした内科的治療を早期に導入する事により後遺症を残すことなく多くの患者さんが回復し、社会復帰できています。急性肝不全や劇症肝炎発症例などの重症肝炎例も積極的に引き受けているため、在院日数は約2週間とやや長めですが、軽症例では外来通院での治療も可能です。

肝硬変
 肝硬変の症例数が増加するに伴い、利尿薬だけではコントロール困難な難治性腹水・胸水の患者さんが増えております。
 腹水や脳症の状態を速やかに改善させて入院期間をより短くすることにより、就労状況にも配慮した治療を行っています。また、門脈圧亢進症により難治性腹水が出ている患者さんに対し胸水・腹水濾過濃縮再静注法も行っております。この治療を行うことで、食欲の増加や呼吸苦の改善が得られるため、生活の質を高める有効な治療法となっています。また、その後の利尿剤の効果が増加する患者さんもおります。入院期間は患者さんの状態や希望によりばらつきがありますが、多くの患者さんが、安全に治療を終了して日常生活に復帰しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 245 18 18 24 98 52 1 8
大腸癌 164 78 71 49 105 57 2 9
乳癌 - - - - - - - -
肺癌 183 58 121 179 9 934 1 8
肝癌 37 73 67 25 8 259 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院では、消化器内科・外科では胃癌や大腸癌、呼吸器内科・外科では肺癌、肝臓内科では肝臓癌の患者さんを診療しています。
胃癌や大腸癌では、早期癌であるI期症例の割合が高くなっています。消化器の早期癌では、主として内視鏡治療や腹腔鏡下手術など、患者さんの身体的・時間的負担が少ない治療を行っています。肺癌においても、早期癌の場合には胸腔鏡手術による患者さんの負担が少ない治療が多く選択されています。
 一方で、手術を行うことが難しい、進行・再発症例も少なくありません。その場合でも、個々の患者さん一人ひとりに最も適した「個別化治療」を推進しています。癌の種類や遺伝子型に応じて、従来からの化学療法・放射線療法に加えて新しい治療法である分子標的治療を積極的に行うことにより、治療成績の向上を図っています。
 医師、コメディカルがチームを組んで、患者さんに寄り添ったチーム医療を実現しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 83 7.01 50.55
中等症 238 11.08 75.76
重症 41 16.61 84.05
超重症 38 14.74 78.68
不明 - - -
 市中肺炎とは、通常の社会生活を営む健常人に発症する肺炎です。重症度は、成人市中肺炎診療ガイドラインの重症度分類(A-DROPスコア)で分類しています。
 中等症以上が入院の適応とされており、当院でも中等症の患者さんが最も多くなっています。軽症でも、持病などで重症化する心配がある場合には入院で治療を行います。重症・超重症の患者さんの平均年齢は80歳前後と高く、平均在院期間も重症では約15日間と長くなっています。
 市中肺炎の原因菌として最も多いのは肺炎球菌です。肺炎球菌による重症肺炎を予防するために、65歳以上の方には肺炎球菌ワクチン接種を強くお勧めします。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 13 10.85 85.00 61.54%
その他 4 12.25 81.75 75.00%
 当院には神経内科、脳神経外科はありません。この1年間で17名が入院していますが、循環器疾患や呼吸器疾患で入院し、入院後の検査で脳梗塞が判明した患者さんが殆どです。脳梗塞の治療が必要な場合は専門病院やリハビリ専門病院へ転院し、治療していただきます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 32 5.63 9.00 0.00% 69.63
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 18 12.67 13.89 33.33% 76.72
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 植込型カテーテル設置(CVポート)とは、中心静脈に挿入したカテーテルに接続した小さな円盤状の器具です。これを皮下に留置しておき、必要な時に体外から針を刺すと、薬剤や栄養剤(輸液)などを投与できるようになります。
 この方法は下記の4つの利点があります。
①皮膚の上から専用の針をポートに穿刺するだけで、高濃度の栄養剤や血管外に漏れると危険な薬剤でも、確実・安全に静脈内に投与することができる。
②通常の腕からの点滴に比べて針が抜けにくいため、それほど安静にする必要がない。
③使用しないときに特別な処置や管理の必要がなく入浴も行える。
④長期にわたり点滴を行う予定がある場合に感染の危険が少ない。
 このため、確実に静脈内に投与しなくてはならない薬剤による治療も外来で受けることができます。また、ほぼ普通に日常生活や仕事もできるので、現在広く用いられています。また不要となれば 抜去も可能です。CVポートの手術にかかる時間は局所麻酔で30分程度となります。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む) 124 1.56 6.10 0.00% 69.62
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 90 2.51 3.47 1.11% 32.61
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む) 29 1.38 4.93 0.00% 67.14
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 24 1.25 5.46 0.00% 67.67
K5132 胸腔鏡下肺切除術(部分切除) 11 1.45 3.82 0.00% 57.36
【低侵襲手術について】
 当科では、肺病変および縦隔(肺にかこまれた胸部中央の領域)病変の外科的治療を担当しております。特色としましては、年間の9割以上の症例で胸腔内の状況を胸腔鏡と呼ばれるカメラを使用してテレビモニターに映し出し、それを見て手術を行う“完全胸腔鏡下手術”またはより最先端技術となる”ロボット支援下手術”を行っている施設であることです。
 完全胸腔鏡下手術では、脇の肋骨の間に3カ所の小さな創部だけで手術を行っており、“低侵襲”な方法であると同時に、カメラを見たい部分に近づけることで拡大視することができるため“安全”な手術であります。これにより患者さんの負担が少なく、回復が早く、より早期の社会復帰を目指せるという大きなメリットとなります。術者のみならずカメラ操作を行う助手にも技術が必要ですが、当院ではこの方法を東北地方においていち早く取り入れたことで、ここまで十分な実績と経験を積んでおり、安心して沢山の患者さんにその治療を提供できると考えております。
 また、肺癌に対してはロボット支援下手術も導入しており、こちらも実績と経験を積み重ねております。ロボット支援下手術では創部の数自体こそ5カ所に増えますが、各創部は8~12mmと小さなものでありますし、手術時間が胸腔鏡下手術よりも1時間前後短縮され、術後疼痛もより軽減されております。術後長く苦しむ方が時におられる肋間神経障害が胸腔鏡下手術よりも発生しにくいとされ、これは患者さんの長期的な生活の質の向上に寄与しうるものと考えられます。術者としましては、2D平面画像の胸腔鏡下手術に対して3D立体視が可能であること、手振れ補正があるためより緻密な操作が可能なこと、カメラ操作を術者本人が行えることなど、手術操作の面においてもメリットがあります。
 患者さんの病状をしっかりと考慮した上で、胸腔鏡下手術に加えて、ロボット支援下手術という選択肢も提供できるようになっておりますので、手術方法に関しましても遠慮無くご相談ください。胸腔鏡下手術であっても、ロボット支援下手術であっても、患者さんにかかる費用面は変わりがありませんので、その点はご安心ください。
 
【胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術について】
 原発性肺癌をはじめとした“肺悪性腫瘍手術”では、腫瘍の病状と患者さんの全身状態に応じて、まずは手術適応の是非、そして手術内容(切除範囲)を決めて行っています。
 一番多い方法は、「肺葉切除」で、これをほとんどの患者さんに対して、「完全胸腔鏡下」ないし「ロボット支援下」に安全に行い、早期社会復帰を実現しております。(『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む』に相当します)
 一方、原発性肺癌でも病変が早期と考えられる場合には、切除範囲を少なくした“縮小手術”である「部分切除」や「区域切除」の安全性、有効性が日本発信で証明されました。これらの術式にも柔軟に対応可能となっております。
 また一方で、肺は再生しない臓器であり、切除したら切除した分だけ確実に肺活量が減少しますので、ご高齢の場合、あるいは呼吸機能が悪い場合などは、術後の息切れなどにも配慮し、呼吸機能を温存して生活の質をできうる限り損なわないために、消極的ではありますが、切除範囲が少ない“縮小手術”である「部分切除」や「区域切除」も患者さんにとっては選択肢として重要ですので、適宜状態をみて対応しております。大腸癌をはじめ、他臓器癌の肺転移に対しても、積極的に切除を行っております。ご高齢や呼吸機能が悪くても、可能な切除方法を検討して提案いたしますので、どうぞ遠慮無くご相談ください。(『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除)』や『胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む』に相当します)
 
【気胸について】
 『肺嚢胞手術』とは、肺の一部が突然破れ、漏れ出た空気が胸の中に溜まることで肺が縮んでしまう、いわゆる“気胸”の患者さんに対して行う手術です。肺にブラ(ブレブ)と言われる風船ができ、これが破れて発症するため、その原因部分に対する治療としてブラ(ブレブ)の切除が必要になります。手術を行わなくとも破れた穴が自己治癒で塞がればとりあえず改善しますが、初発の方で手術による原因部分の切除を行わない場合の再発率が50%と高率であり、再発の方ですと更にその確率は上昇しますので、原因部分の切除は重要な治療です。当院では気胸の全患者さんに低侵襲な完全胸腔鏡下手術を行い、早期に通常の生活に安心して戻れるように貢献しております。
 当科は毎日手術室を使用でき、また優秀な麻酔科医師や手術室スタッフの協力もあり、手術を行うとなれば一日でも早く行えるような環境にあることも、患者さんの早期社会復帰に寄与できると考えております。
 さらには、気胸は大半が20歳前後の若年男性に発生するのですが、この年代は高校生や大学生といった学生です、そのため、一旦手術を回避して改善を得られたとして、その後夏休みなどの長期休暇を利用しての手術希望などにも柔軟に対応しておりますので、どうぞご相談ください。(『胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの))』に相当します)

【診断のついていない肺・胸腔内病変について】
 良性の肺腫瘍や炎症で肺内に“しこり”が出来ることがあります。気管支鏡などでの確定診断が難しいため、“肺癌が否定できない”、モヤモヤとした不安な日々をお過ごしになると思います。その際に、可能な限り完全胸腔鏡下の低侵襲手術で、切除範囲もできるだけ少なくし、診断と治療を兼ねた手術を行っております。肺のしこりを指摘された場合、いつでもご相談ください。(『胸腔鏡下肺切除術(部分切除)』に相当します)
循環器内科・不整脈科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 833 1.10 1.33 0.00% 65.85
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 465 1.66 3.89 1.29% 72.15
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 375 1.88 6.91 5.07% 75.92
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 335 4.51 10.96 13.43% 83.07
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症に対するもの) 201 0.21 10.24 4.98% 70.83
頻脈性不整脈
 頻脈性不整脈(脈が速くなるタイプの不整脈)に対しては、経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)が根治治療として推奨されています。対象となるのは、循環器疾患の中でも比較的若い年齢層の患者さんが多いのが特徴です。
 治療法には、心房中隔穿刺や心外膜アプローチを伴うものと、それらを伴わないものがあります。一般的に、心房中隔穿刺などを要する治療は難易度が高いとされますが、当院ではこれらの高度な治療に対しても豊富な経験を有しており、合併症の発生率も全国平均より低い水準にあります。
 また、最新の治療機器であるパルスフィールドアブレーション(PFA)もいち早く導入しており、全国でも有数の治療実績を誇ります。これにより、患者さんの入院期間の短縮にもつながっています。
 現在、主要な頻脈性不整脈に関しては、2泊3日の短期入院での治療が可能な体制を整えています。短期入院には、患者さんのスケジュール調整がしやすくなるだけでなく、入院中の認知機能や体力の低下を防ぐ効果、さらには感染症(新型コロナウイルスを含む)の拡大防止にも寄与するなど、多くのメリットがあります。
 実際、今回の治療実績(計833名)においても、平均術前入院日数は1.10日(前年1.27日)、平均術後入院日数は1.33日(前年1.63日)と、年々短縮されており、安全性にも大きな問題は生じておりません。
 頻脈性不整脈の患者さんは年々増加傾向にあり、今後も治療の必要性はますます高まっていくと考えられます。
 不整脈の症状でお困りの方、治療についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。当院では、月曜日から金曜日まで毎日、不整脈専門外来を開設しております。

経皮的冠動脈ステント留置術
 心臓に栄養を送っている血管を冠動脈といいます。虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は冠動脈が狭くなり、充分な血液が心臓にいきわたらなくなる病気です。経皮的冠動脈ステント留置術とは狭くなった冠動脈を拡げる治療法です。ステントという金属製の網状の筒を冠動脈内に挿入し、狭くなった血管を内側から支えます。この治療により心臓に充分な血液がいきわたるようになります。当科で最も力を入れている分野です。

急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈ステント留置術
 急性心筋梗塞とは冠動脈が急に、そして完全に詰まってしまう病気です。そのため治療が遅れると死に至ることが多く、緊急で治療を行う必要がある疾患です。治療方法は、先ほど説明した経皮的冠動脈ステント術です。病状は分単位で変化しますので一刻も早い治療が必要になります。そのため、患者さんの緊急受け入れ態勢が整っている必要があり、当科ではその受け入れを365日・24時間体制で行っております。
 また、病院搬入から冠動脈を再開通させるまでの時間は病院ごとに差があり、当科ではこの時間短縮を目標として掲げ、治療を行っております。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 56 6.59 16.02 3.57% 66.02
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 53 1.75 5.89 3.77% 73.96
K560-22ニ オープンステントグラフト内挿術(上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術)(その他のもの) 42 1.67 22.12 7.14% 63.29
K554-21 胸腔鏡下弁形成術(1弁のもの)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む) 41 2.90 11.88 0.00% 59.20
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 32 6.16 13.38 3.13% 67.31
冠動脈、大動脈バイパス移植術
 狭心症や心筋梗塞後の患者さんのうち、カテーテルによる治療ができない、あるいは向かない方に対して、冠動脈バイパス手術を行います。当科では、両側内胸動脈、腕の動脈を積極的に使用し、長期のグラフト開存率を考えた手術を行うようにしています。また、人工心肺を簡略化したミニポンプを使用することにより、心機能が低下した患者さんに対しても安全に多くの枝にバイパスすることを常に考え、治療を行っています。
 糖尿病を合併している方が数多くいることがこの病気の特徴ですが、手術に際しては術前・術後にわたり十分な血糖コントロールを行うことが、手術創感染、創トラブルを予防する上で非常に重要です。当科では、糖尿病の専門医の指示で適切な治療を行うことで、冠動脈バイパス術後の創感染を非常に低く抑えることができています。(手術後の創感染サーベイランス調査に参加しています。)

ステントグラフト内挿術・オープンステントグラフト内挿術
 動脈硬化のために血管が弱くなり、瘤(こぶ)のように膨らんでしまうと大動脈瘤であると診断されます。胸の大動脈にもおこりますし、お腹の大動脈にもおこります。痛み等はないのが普通ですが、そのままでは破裂死を引き起こすことが多いために治療が必要となります。動脈硬化が原因のため、比較的高齢の方が多く、体力が低下している方も多数おられます。もともとは胸を開けたり、お腹を大きく開けたりして、大動脈瘤を切除し、その部分を人工血管でつなぎなおす手術を行っていましたが、大きな手術に耐えることが難しい方もおられました。そのような場合、現在では、足の付け根の血管から太めのカテーテルを入れて、ステントグラフトを内挿することにより、治療が可能となっています。しかし、全員がこの治療法に適するわけでなく、大動脈瘤の形がステントグラフト治療に合わない場合も多くあります。また、50歳代では頑張って人工血管置換術をうけたほうが、20−30年という長期的なことを考えた場合には、むしろ良いと思われる事もあります。当科では、大動脈瘤切除人工血管置換術もステントグラフト内挿術もともに多数の経験があり、患者さんに合った適切な治療法を選択することができます。

胸腔鏡下弁形成術
 当科では、弁膜症における弁の逆流に対しては、可能な限り自分の弁を温存して逆流を制御する方法(形成術)を選択しています。通常であれば胸骨を切って大きな傷で行う方法がまだ多いですが、当科では右小開胸(5cm程度)で行うケースが多く、患者さんのメリットが大きい手術方法です。昨年からはロボット支援下手術も開始し、内科的カテーテル治療と合わせ、より低侵襲な方法を選択出来る病院となっております。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 1,937 0.03 0.75 0.00% 67.23
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術) 241 1.00 4.61 0.00% 73.20
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 183 0.98 3.68 0.00% 66.81
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル以上) 182 0.07 1.11 0.00% 60.82
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 151 1.81 6.30 5.30% 76.44
【当院の特徴:最新の機器による経験豊富な内視鏡治療、24時間救急応需】
 当科では、迅速かつ安全な内視鏡治療を提供するように心掛けています。
 近年増加傾向である大腸ポリープに対して、大腸検査時に見つかった小さなポリープはその場で切除も可能で日帰りでも行っています。
 早期胃癌や早期大腸癌の内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)は最も得意とする領域で、数多くの経験豊富な内視鏡医が、難易度の高い症例も含め多数の症例を手がけています。早期癌発見と内視鏡切除時の正確な範囲診断のために、最新式ハイビジョンカメラや拡大機能(更に520倍の超拡大観察も可能)、特殊な光(NBI)、色素などを用いたり、発見された癌に対して超音波内視鏡という腫瘍の断面の画像が得られる内視鏡を使い、より精度の高い検査や治療を実施しています。
 胆管領域で緊急性の高い総胆管結石による閉塞性黄疸や胆管炎、胆嚢結石による急性胆嚢炎に対しても緊急内視鏡治療や胆嚢ドレナージなどを多数行っております。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 289 0.80 4.26 0.35% 62.19
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 133 2.25 10.62 0.75% 70.41
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) 49 1.63 15.43 4.08% 75.10
K7032 膵頭部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合) 38 2.45 26.63 2.63% 69.76
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術)(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合も含む) 37 2.08 16.46 0.00% 67.92
【腹腔鏡下胆嚢摘出術】
 胆嚢結石症や急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下手術によって胆嚢を摘出する手術です。術後は通常、3日程度で退院となります。

【腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術、腹腔鏡下直腸切除・切断術】
 近年増加している大腸癌(結腸癌と直腸癌)を腹腔鏡下手術によって摘出する手術です。癌をその周辺のリンパ節と一緒に切除し、腸をつなぎ直します。手術の2日前に入院していただき、入院から約2週間で退院となります。

【腹腔鏡下胃切除術】
 胃癌に対して、周囲のリンパ節とともに胃を部分的にあるいは全て切除する手術です。殆どの症例を腹腔鏡下手術で切除しています。胃切除後は“食べること”に慣れる必要があるため、大腸癌手術よりも入院期間はやや長くなります。

【結腸切除術】
 結腸癌に対しては腹腔鏡下手術を第一選択としていますが、癌そのものが大きい場合、癌によって腸閉塞が引き起こされている場合は、従来通りの開腹による手術を選択します。この手術はご高齢の患者さんが多くなっています。患者さんの病状、病態を冷静に見極め、安全第一の手術を提供しています。
2024年から胃癌と直腸癌に対しては腹腔鏡手術の進化版とも言えるロボット支援下手術を導入しています。患者さんの疾患、病状にあわせて、最適の手術術式を提案し、提供していきます。
肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 154 2.02 8.01 0.00% 73.14
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 90 1.12 10.07 3.33% 68.91
K697-32ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)(2センチメートルを超えるもの)(その他のもの) 87 1.14 5.37 0.00% 74.07
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)(2センチメートル以内のもの)(その他のもの) 28 1.00 4.46 0.00% 72.43
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 18 1.28 11.83 0.00% 70.11
血管塞栓術(選択的動脈化学塞栓術)
 肝細胞癌や肝細胞癌の他臓器転移、多血性転移性肝腫瘍などに対して血管塞栓療法を行っています。治療方法も薬剤溶出性ビーズを用いた塞栓療法やバルーンカテーテルを使用した塞栓療法、また、超細径マイクロカテーテルを使用した超選択的塞栓療法など、患者さんの状態に合わせて治療を行っています。また、進行した肝癌に対して血管塞栓術後に持続肝動注療法を行う治療も行っております。治療効果も良好であることから、近年、紹介患者数は増加傾向にあります。免疫チェクポイント阻害剤や分子標的剤の治療効果が限定的であった患者に対して、手術後の治療として施行するケースもあります。

肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法
 腫瘍の大きさが2cm以内または2cmを超えるものや肝動脈化学塞栓療法等の組み合わせによるラジオ波焼灼療法は年間100件以上に対して治療を行っています。同様の効果が得られるとされるマイクロ波凝固治療も行っております。高精度エコー機器、フュージョン画像を使用した治療を行うことにより大きな副作用もなく治療を完遂しているため、患者さんの状態が良く転院率も低く抑えられています。最近は、治療に伴う疼痛、苦痛を緩和する目的で鎮静剤を用いた治療も積極的に行っております。肝細胞癌に限らず、転移性肝癌に対しても適応を十分に評価して、治療を考慮しています。他臓器に近い肝癌に対しては、人工腹水を作成して治療を行う場合もあります。
 
胸水・腹水濾過濃縮再静注法
 肝硬変・肝癌患者の症例数が増加するに伴い、利尿薬だけではコントロール困難な難治性腹水・胸水の患者さんが増えております。その方々に積極的に胸水・腹水濾過濃縮再静注法を施行しており、当院では年間約100件治療を行っています。この治療を行うことで、食欲の増加や呼吸苦の改善が得られるため、生活の質を高める有効な治療法となっています。また、その後の利尿剤の効果が増加する患者さんもおります。入院期間は患者さんの状態や希望によりばらつきがありますが、多くの患者さんが、安全に治療を終了して日常生活に復帰しています。
 
血管塞栓術(その他のもの)
 脾腫を伴う肝硬変患者に対する部分的脾動脈塞栓術や動脈瘤のコイル塞栓、内視鏡で止血が難しいような緊急性の消化管出血に対する血管塞栓、巨大肝嚢胞の栄養血管塞栓などを行っています。大きな副作用なく安全に施術でき、入院日数も1週間前後と安定しております。治療により全身状態が改善する患者さんがほとんどであり、転院率も0%と低く抑えられています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 1 0.01
異なる 10 0.05
180010 敗血症 同一 8 0.04
異なる 46 0.24
180035 その他の真菌感染症 同一 1 0.01
異なる 5 0.03
180040 手術・処置等の合併症 同一 102 0.53
異なる 97 0.51
 細菌やウイルスの感染が全身に広がり臓器障害を起こす敗血症は、感染の経過中に起こりえる重篤な状態です。当院では、免疫力が低下しているために敗血症を発症するリスクが高い、多くの患者さんを治療しています。しかし、当院での敗血症の発生は0.24%で、全国DPC対象病院の平均0.55%と比較すると低く抑えられています。
 手術・処置等の合併症で“入院契機が同一”とは、退院後に合併症が発生した患者さんや、他院での治療で合併症が発生し当院に転院して治療した患者さんです。“入院契機が異なる”とは、当院での手術・処置後に合併症が起こり、入院継続で治療した患者さんです。
 手術や処置、各種検査では合併症が起こらないように細心の注意を払って行っています。しかし、それでも一定の確率で発生するのが合併症であり、治療・検査前に十分に説明を行い、ご理解していただき、同意をいただいた上で治療・検査を行います。また、合併症が発生した場合には可及的速やかに最善の処置を行っています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1,626 1,582 97.29%
 周術期の予防対策は、術後の肺血栓塞栓症の発生率を下げることにつながります。当院では、肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の患者さんのうち、97.29%の患者さんに予防対策を行っています。これは当院と同規模の病院の全国平均値 91.18% (2023年度医療の質可視化プロジェクト、公益財団法人日本医療評価機構)よりも十分に高いものでした。今後も合併症の減少、軽減に尽力していきます。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
2,646 1,846 69.70%
 血流感染症の診断において血液培養検査は必須です。血液培養検査が1セットのみの場合は、菌が検出されても真の起因菌か疑陽性か判定が困難となる場合があり、2セット以上の血液採取が推奨されています。
 当院においても従来2セット以上の血液培養採取を推奨してまいりました。しかし令和6年7月に、当院でも採用している血液培養検査用ボトルの出荷制限が発生したため、2セット採取を1セット採取に制限しております。日本感染症学会の提言に従った措置ですが、7月~10月は2セット採取率が低下しています。その後、出荷制限の解除とともに2セット採取率は改善しています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
1,463 897 61.31%
 感染症の治療開始時には起因菌が未だ判明せず、感染部位・感染症名から起因菌を推定して抗菌薬を決定することが一般的です。エンピリックセラピーといい、推定されたいくつかの起因菌に対応するために広域抗菌薬が選択されます。
 その際にも起因菌が確定すれば、起因菌に最適な狭域抗菌薬への変更が可能となります。
 院内の抗菌薬適正使用支援チームASTがこのような感染症診療を推進・支援していますが、広域抗菌薬投与開始前の細菌培養実施を強く推奨しています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
134,142 599 4.47‰
 入院患者さんの中には、入院という環境の変化や罹患した疾患においてベッドからの転倒・転落される方がいらっしゃいます。入院中には、ベッド周辺、歩行途中、トイレの行き帰りなど、思わぬ所で転倒・転落があります。転倒転落により、外傷や打撲だけでなく、骨折や脳出血等重大な障害を起こすこともあり、予防にむけた施設環境の整備や、患者さん個々への予防計画立案や実施が重要になります。
 倒転・転落の指標は、「転倒・転落事例の発生率」と「転倒・転落によって患者さんに傷害が発生した損傷発生率」との両者を指標とすることに意味があります。転倒・転落による傷害発生事例の件数が少なくても、それより多く発生している傷害に至らなかった事例もあわせて報告して発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
134,142 11 0.08‰
 転倒・転落による損傷発生率はレベル3b(転倒・転落により患者さんへの治療の必要性が生じる)以上の転倒・転落件数になります。

<影響度分類>
 レベル3b:(一過性/高度)濃厚な治療や処置を要した(バイタルサインの高度変化、入院日数の延長、手術、骨折など)
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
3,047 3,030 99.44%
 予防的抗菌薬の投与は、手術部位感染の発生率を減少させるために行います。手術中の汚染による細菌量を、手術を受けられる方の宿主防御機構でコントロールできるレベルまで下げるために使用されるものです。呼吸器・消化器などが該当する準清潔創手術においてはその効果が期待されます。
 手術が始まる時点で、十分な殺菌作用を示す血中濃度・組織中濃度が必要となることから、切開の1時間前以内に投与を開始することが推奨されています。当院では実施率が99%を超えております。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
131,652 68 0.05%
 褥瘡の患者はQOLの低下をきたすとともに、感染や疼痛を伴い入院日数の増加、医療費の増大、療養先の制限等に関わってくるため、提供する医療項目の中でも重要な位置づけをされ、1998年からは診療報酬に反映されています。
 当院では他職種からなる褥瘡対策チームを構成し、看護部と協働しながら日々、各病棟の褥瘡対策の検討と実施、評価を行っています。その結果、一般病棟における推定褥瘡発生率(2021年度 日本褥瘡学会実態調査委員会報告より)は、全国平均のおよそ半分の発生率で維持出来ています。今後もこの水準を維持出来るように取り組みを継続していきます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
13,474 9,039 67.08%
 検査等で早期退院予定以外の患者さんを対象に栄養スクリーニングを実施し、低栄養のリスクがある場合は、より詳細な栄養アセスメントを実施します。(短期入院患者さん以外を対象としているため全国平均よりもやや下回る67.08%の」実施割合となっています)各病棟担当管理栄養士による適切な栄養介入をおこない、在院日数の短縮、治療予後改善につなげています。栄養状態の問題が大きい場合や難渋する場合には、多職種で構成された栄養管理を専門に行うチームである栄養サポートチーム(NST)での介入を実施します。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
152,134 1,691 1.11%
 身体的拘束とは、「抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限」をさします。生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に、切迫性(患者本人または、他の患者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと)、非代替性(身体的拘束、その他の行動制限を行う以外に代替えする方法がないこと)、一次性(身体的拘束、その他の行動制限が一時的なものであること)の3つの要件を満たすかを組織内で話し合い慎重に実施します。
 当院では身体的拘束最小化チームを結成し、院内ラウンドを実施しています。院内ラウンドでは身体的拘束を実施している場合は3つの要件をみたしているのかを確認し、患者さんの苦痛緩和と解除にむけた提案を行い、早期に解除できるように努めています。
更新履歴
2025.9.29