専門治療
診療方針
当科はスタッフ全員が専門医という充実した体制のもと、さらなる増員を検討中です。
肺癌の手術数は年間おおよそ160~200例で、これは宮城県内で行われる手術のおよそ4分の1にあたります。そのほとんどを胸腔鏡手術/ロボット支援手術で行っており、いわゆる“小さい傷”の胸腔鏡補助下肺葉切除ではなく、肺葉切除からリンパ節郭清まで全て完全胸腔鏡またはロボット支援手術で行っています。傷は小さく低侵襲であり、順調に経過すると3日前後で退院が可能です。入院期間が1週間を切ることも珍しくありません。
胸腔鏡手術では映像装置に4Kカメラを導入するなど、機器の更新も積極的に行っています。また、2024年9月からはロボット支援手術、『ダビンチ手術』を導入しております。これはより低侵襲な手術方法の1つです。
原発性肺癌が疑われながら内科で診断がつかない場合は、外科での胸腔鏡検査を行います。全身麻酔下に胸腔鏡検査を行い、術中迅速病理検査で診断を確定し、引き続き必要な手術を行います。
当科が担当するのは、手術適応のある肺癌症例です。現在は胸部CTでしか見つからない早期肺癌に対しても、積極的に完全胸腔鏡/ダビンチ手術で区域切除を行っています。なお他の悪性腫瘍からの肺への転移も手術適応になることがあり、腫瘍の出来た場所に応じて、胸腔鏡手術やダビンチ手術で切除しております。
自然気胸に代表される嚢胞性肺疾患は、突然の呼吸困難や胸痛で発見されることが多く、レントゲンで診断がつきます。胸部CTで原因検索をし、病変(ブラ)があればその病変を切除しています。
縦隔腫瘍は胸腺腫が多く、中には悪性の腫瘍や、周りの臓器を圧迫したり腫瘍内で出血したりするものもあり、原則として手術での切除が必要になります。周りの臓器に対する影響の無い胸腺腫や良性の縦隔腫瘍に対しては、胸腔鏡下に腫瘍を摘出します。非常に大きな腫瘍の場合や、特殊な自己抗体を産生しているような場合には、胸の真ん中を縦に切開する胸骨正中切開での切除を行うこともあります。
当科に限らず当院の外科では、情報公開の方針を徹底し、手術の様子は全て公開しております。希望される患者さんのご家族に対して、テレビモニターを通して手術中の様子をご覧頂いています。
先端医療への取り組み
完全胸腔鏡手術に加えて、ダビンチ手術の導入
モニター視のみで手術を行う完全胸腔鏡手術に関しては、東北の老舗としてこれまで極めて多数の症例を行って参りました。
2024年、当院にも手術支援ロボットである『ダビンチ』が導入され、同年9月より当科でもダビンチ手術を開始しております。これは、最先端治療の1つであり、より低侵襲な治療です。
医療設備
VATS(完全胸腔鏡下手術)
当院では、東北でもっとも初めに“完全”胸腔鏡手術を導入した施設で、傷も3箇所の最小限な大きさです。全ての手技が画面に映し出されたモニターのみを見て行われます。
この方法では、傷が小さいため、疼痛が少なく回復が早く、早期退院・社会復帰が可能です。意外に思われますが、この方法は大きな傷に比べて安全性が高いと考えられます。胸腔鏡を接写しながらモニターに写すことは、拡大した視野で操作をすることになります。また手術道具が患者さんの体で固定されるので手振れが軽減されます。つまり、安全で確実な手術となり、さらに術後の回復も早い、という点で非常に良い方法であると考えています。
医療者側もチームとして十分なトレーニングを積んで初めて達成できることですので、完全胸腔鏡手術の老舗、として今後もこの高度医療をしっかり提供して参ります。

新病院でのVATS手術の様子
術者と助手が、それぞれ向かい合わせに設置されたモニターを見て手術を行う
RATS(ロボット支援下手術)
呼吸器外科領域では2018年からロボット支援手術が保険収載されました。
当院では、2024年に手術支援ロボットである『ダビンチ』が導入され、同年9月より当科でもダビンチ手術を開始しております。非常に順調に症例を積み重ねており、東北地方でも有数の症例数となっております。
ダビンチ手術では3D視野で、非常に近接した視野で手術を行うことが可能であり、まるで胸の中に術者が入って手術を行うようだ、と言われます。ダビンチ手術でもカメラを使用しますが、このカメラを術者本人が操作可能であることも、非常に有用です。また、手首よりも可動域のある、小さな鉗子を、手振れ防止機能付きで使用することが可能であり、胸腔鏡手術よりも精緻な手術操作が可能となります。
傷の数はVATSの3カ所からRATSは5カ所と増えてしまいますが、現実的には、当院のデータで手術直後から翌日朝までの疼痛を数値化したもので比較すると、総じてRATSの方が疼痛が軽減されておりますので、より患者さんに優しい治療であると言えます。
また、一般的に延長されがち、とされる手術時間に関しましても、当院ではむしろVATSよりも平均して1時間前後短縮されております。
当科で採用しているダビンチ手術は、ほぼ全ての操作を術者本人で行うことが可能な方法ですが、細かな部分における助手との共同作業が必要であり、スタッフ一同トレーニングを積み重ねております。
より最先端治療の1つであり、より低侵襲手術の1つである、ダビンチ手術を当院でも安全・確実に提供して参ります。

ダビンチ手術の様子
術者がロボットアームを操作し、助手は患者脇で細かなアシストを行う
患者さんの紹介について
通常勤務時間帯は各科外来、休日・夜間等は当直師長が対応致します。
通常のご紹介の場合
外来診療におけるスケジュールは下記の通りとなっております。受診される場合は紹介状(診療情報提供書)と保険証をご持参の上、病院本館1階医事課新患窓口にお越しください。
診察受付時間 8:30~11:00 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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