
腹腔鏡手術を中心に、幅広い消化器疾患に対応
当院の消化器外科では、食道から胃、小腸、大腸、胆嚢や肝臓、胆管、膵臓など、幅広い消化器疾患の手術治療を専門的に行っています。特に消化器がんの治療には力を入れており、病気の種類や患者さんの状態に応じて、負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に導入しています。また、食道がんでは胸腔鏡・腹腔鏡下手術を行い、肝胆膵領域など難易度の高い手術でも、高度な技術と最新の医療設備を駆使して安全に治療を提供しています。
私たちが目指すのは「患者さんにとって最もよい治療」です。手術はもちろんですが、術前の検査から術後のケアまで、患者さん一人ひとりの状況に合わせて丁寧に対応しています。また、循環器疾患を持っているなど、合併症のある患者さんの手術経験も豊富ですので、他の病院で難しいと言われた場合でも、循環器科や麻酔科と連携を取りながら、最適な治療方法を見つけています。
私たちの病棟は39床ほどの規模で、患者さんとの距離が近く、スタッフ全員が常に患者さんの情報を共有しています。少しでも患者さんに変化があればすぐに気づけるような体制を作っており、安心して入院生活を送っていただけるよう努めています。また看護スタッフも明るい雰囲気の中で、患者さんの不安や痛みを軽減することを第一に考えて日々のケアを行っています。
早期から進行例まで、患者さんに合わせた最適な治療を提供

私の専門は下部消化管、腫瘍の治療です。患者さんとは、診断されて手術が必要になった段階から長くお付き合いをさせていただくことが多くなります。
手術の対象となる患者さんの症状はさまざまです。大腸がんには非常に早期で見つかる方から、すでに他の臓器に転移がある方まで多様です。自覚症状として患者さんが気づくきっかけは、血便や便秘、そして貧血などが多いです。
がん治療は早期に見つかるほど治療の選択肢も多くなり、患者さんの予後もよくなります。定期的に検診を受けることは非常に重要です。ただ、進行した状態で見つかったとしても諦めることはありません。当院では腫瘍内科の先生とも協力しながら、抗がん剤治療を行い、腫瘍が小さくなった段階で手術をするなど、一人ひとりに合った最適な治療を提案しています。特に転移がある場合は肝臓や肺などへの転移が多いのですが、肺の手術は呼吸器外科チームと連携して治療にあたり、肝臓の手術は私たち消化器外科が担当しています。
腹腔鏡やロボット支援で、患者負担の少ない治療を
当科では患者さんへの負担を最小限に抑えるため、低侵襲な腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
腹腔鏡手術の最大の特徴は、カメラを使って患部を拡大し、より鮮明に観察しながら手術ができる点にあります。開腹手術では直接触れる利点がありますが、実際に切除したい部分を細かく見ることが難しい場合もあります。一方、腹腔鏡手術では高精細なカメラを通じて患部を詳細に確認できるため、精密で繊細な手術が可能になります。特に直腸がんの手術では骨盤の奥深くで狭い場所を操作する必要があり、こうした場合は腹腔鏡手術のほうがより正確に細かな操作を行えることもあります。
ただし、腹腔鏡手術が適さない場合もあります。例えば、がんが非常に大きい場合や、複数の臓器が絡んでいる複雑なケースでは、開腹手術を選択することがあります。
また当院では、ロボット支援手術(ダビンチ手術)を導入しています。ダビンチは腹腔鏡手術と同じく低侵襲ですが、さらに立体的な視野での手術が可能であり、鉗子が自由に曲がることで繊細な操作を行えるのが特徴です。特に直腸がんのような狭い空間での手術において、そのメリットを最大限に発揮しています。当院では直腸がん手術や、胃がん手術の半数程度がすでにダビンチを使用しており、今後さらに増えていく見込みです。

検査から術後まで、当院で完結できる体制

術後の患者さんとのお付き合いの仕方は、大きく分けて二つあります。一つは手術後もがんが残っており、継続的な抗がん剤治療が必要な場合です。この場合、患者さんは主に当院の腫瘍内科で治療を継続しますので、消化器外科への通院は少なくなります。もう一つは、手術でがんが完全に取り切れた場合です。この場合は、日常生活に大きな変化はなく、半年に一度ほど再発の有無を確認するために通院していただくことになります。生活も食生活もほぼ元通りに過ごせますので、普段はかかりつけの医師のもとで定期的に経過を見てもらうことが多くなります。
基本的には当院で治療を完結できる体制が整っていますが、非常に進行し、泌尿器科や産婦人科との緊密な連携が求められる特殊なケースでは、東北大学病院などの専門施設にご紹介することもあります。しかし、このようなケースは非常に少なく、ほとんどの患者さんが当院で一貫した治療を受けることが可能です。
地域のかかりつけ医の方へ

地域の先生方には、いつでもお気軽に当院へ患者さんをご紹介いただきたいと思っています。当科は長年地域に根ざしており、スタッフも東北出身者が多く、8名の医師のうち5名が東北地域出身です。また、長期的に勤務している医師が多く、10年以上勤務しているスタッフもおり、地域の先生方との顔が見える連携体制が整っています。
私たちの外科医としての技術や実績についてもご紹介させていただきます。当院には日本内視鏡外科学会の技術認定医が4名在籍しており、肝臓、食道、大腸といった多領域での高度な技術を有しています。さらに、日本肝胆膵外科学会の高度技能医資格を持つ医師も2名在籍しております。この2つの資格は非常に難易度が高く、消化器外科医の中でも保持者が少ない希少な資格です。
こうした専門性を活かし、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供できるよう努めています。地域のかかりつけの先生方には、どんな些細なご相談でも構いませんので、どうぞ安心してご紹介いただければ幸いです。今後とも、地域の医療機関の皆様との連携を大切にし、患者さんのために尽力してまいります。
就職をお考えの方へ

当院の消化器外科では、やる気のある医師を歓迎しています。消化器外科という分野は確かに難しい部分もありますが、何よりも大切なのは強い意志とトレーニングを続ける意欲です。特殊な才能や手先の器用さが特別に求められるわけではありませんが、技術を習得するためには継続的な努力が不可欠です。
私たちが重視するのは日々の地道なトレーニングです。例えば、箸を使って食事をするように、繰り返し練習することで誰でも技能を身につけることができます。具体的には、手術動画の視聴による予習・復習や、ドライボックスを使用したトレーニングでの糸結びや細かな作業を繰り返し行います。当科の若手医師たちも毎日短時間でも継続的にこのトレーニングを積み重ねて技術を磨いています。
また、当院では若手医師が早期から多くの手術経験を積めるように、豊富な症例数を確保しています。他施設と比較しても圧倒的に多い症例数をこなすことで、実践的な技術を早くから身につけることができます。
さらに、当院の特徴として、チーム内での業務分担が公平であることも挙げられます。若手医師に業務が偏ることなく、部長クラスも含めて均等に業務を分担しているため、自分の時間をしっかりと確保できます。臨床経験を積むだけでなく、自己研鑽やプライベートな時間もしっかり持てる環境を整えています。
興味のある方はぜひ一度見学にお越しください。スタッフ一同、お待ちしています。
患者さんにメッセージ

患者さん一人ひとりにとって最善の治療を提供できるよう、私たちは常に細やかな配慮を大切にしています。低侵襲な腹腔鏡手術や最新のロボット手術を積極的に活用し、安全で確かな技術で治療にあたります。術後も地域の医療機関と協力して丁寧なフォローを行いますので、どうぞ安心して私たちにお任せください。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

経歴
- 青森県出身
- 2008年 秋田大学卒業
- 2008-2011年 八戸市立市民病院
- 2011-2014年市立秋田総合病院
- 2014年より仙台厚生病院消化器外科