病院について

当院のがん診療

放射線治療

放射線治療の概要

放射線治療は、手術・抗がん剤とならぶ、がん三大療法の一つです。患者さんへの身体的負担が少なく、しかも機能・形態の温存を可能にする優れた治療法です。そのため、高齢者への治療はもちろんのこと、仕事をしながら外来通院での治療も可能です。

放射線治療は局所療法であり、疾患に応じて様々な方法があります。治療目的は病巣部に放射線を照射することによりがん細胞を死滅させ、周囲臓器の機能・形態を温存することです。また、がんを治癒するための根治治療だけでなく、がんによって引き起こされる痛みをはじめとする様々な症状の軽減を目的とした緩和治療もおこなわれています。

放射線療法は放射線単独で行う場合もありますが、現在は複数の治療法を組み合わせた「集学的治療」が主流となっています。

修学的治療・放射線治療・薬物療法・手術

放射線治療の種類

  1. 根治的放射線治療:根治照射

    がんの根治を目的とした放射線治療です。放射線治療単独や化学療法との併用(化学放射線療法)で行われます。

    視認できる癌病巣とその周囲や、領域リンパ節など顕微鏡的な腫瘍の拡がりの部分全てを放射線の照射範囲(照射野という)に含めます。

    一般的には25回/5週~33回/6週半程度の分割照射となります。

    定位放射線治療(俗に言うピンポイント照射)では3回~10回程度の少ない照射回数で行われます(寡分割照射)。

  2. 緩和的放射線治療:緩和照射

    がんによる疼痛や呼吸困難、閉塞性障害、麻痺や骨折の解除・軽減・予防など、辛い症状の緩和を目的とした放射線治療です。

    がん治療のどの段階においても、鎮痛剤など他の症状緩和療法と併用して行うことができます。また、緩和照射の効果が出現するまでの期間(最短1~2週間)はむしろ併用療法が大切になります。

    照射野にがんの病巣全てを含む必要は無く、症状に関係する部分だけを含めることで副作用も少なくできます。

    回数は1回/1日~10回/2週間程度です。1回照射の場合、外来でも最短1~2回の通院で可能です。

    日本放射線腫瘍学会のホームページでも詳しい説明や資料をご覧になれます。(「JASTRO 緩和照射」で検索)

  3. 術前・術後放射線治療:術前・術後照射

    手術成績を向上させるため、手術前や手術後に放射線治療をすることがあります。例として、直腸癌の術前照射や乳癌の術後予防照射などが挙げられます。

    腫瘍や領域リンパ節、周囲の再発リスクが高い領域を含めて照射することが一般的です。化学療法と併用することもあります。

    照射は、20回/4週~30回/6週程度の分割照射となります。

当院の特徴

当院は2024年5月に医療用直線加速装置(リニアック)をElektaVersa HDに更新し、外部放射線治療(体外照射)を行っています。さらに、2025年から放射線治療専門医2名(常勤2名)体制で診療にあたっています。特に、肺癌、消化器癌を中心に集学的治療を行っております。また、乳癌の術後照射の受け入れも積極的におこなっております。その他、痛みの軽減を目的とした緩和照射も行っています。当院と連携している放射線治療施設のない病院、クリニックの患者さんでも適応があれば外来にて緩和照射を検討できる場合があります。放射線科(治療)へご相談ください。

放射線治療について

通常1日1回、疾患および症状に応じて最短1日、通常数日から1ヶ月半程度です。1回の放射線照射は数分程度で、照射中に患者さんが痛みや熱などを感じることはありません。治療室の滞在時間は、照射部位の位置合わせ、画像確認を含めると15分程度の時間を要します。

放射線治療の進め方

  1. DVDによる事前説明

    DVDを用いて、放射線治療の目的、治療までの流れ、注意事項などをわかりやすくご説明いたします。一度ご覧いただくことで、初回の診察時でも安心して診察を受けやすく、ご理解が深まります。

  2. 診察

    はじめに、放射線治療専門医が治療方針決定のための診察を行います(月~木曜日の午後、火、木の午前)。緊急性を要する患者さんは随時対応しております。特に、治療開始前に患者さんならびにご家族に治療目的、期待される効果、治療方法、副作用などについて詳細に説明させて頂きます。放射線専門医は常駐しておりますので、診察日以外でも疑問や不安などありましたら再度ご説明することも可能です。

  3. 治療計画用CT撮影

    放射線治療は、X線CT撮影を用いた放射線治療計画(詳細は下段に記載)が必要となります。そのため、X線CT撮影は実際に治療を行う体位にて撮影します。また、必要に応じて照射部位の位置精度を担保するために、固定具を作成する場合があります。息止め方法などは、治療部位により異なりますので担当放射線治療担当技師の合図に合わせて行っていただきます。

  4. 放射線治療計画

    放射線治療医が三次元治療計画装置(RayStation・Monaco)を用い、撮影した計画用CT画像と診断目的のCT画像、PET-CT画像、MRI画像などを参照し副作用を低減し治療効果を得るために放射線の線量分布を計算します(治療効果を最大限に高め、同時に周辺の正常組織の副作用を極力抑制することを目的とした治療計画を作成します)。

  5. 線量検証

    照射する放射線の精度を確認するため、SunCHECK Patientを使用しています。放射線治療担当技師がDoseCHECKを用いてMU検証、PerFRACTIONを用いたガンマ解析の結果も合わせて放射線治療医と線量検証を実施しています。また、必要に応じてファントムでの吸収線量の実測も行っています。

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  6. 照射(治療)

    検証された治療計画を放射線治療情報管理システムにおいて管理、運用し照射を行います。照射位置照合装置(XVI)にてX線撮影、またはコーンビームCT(CBCT)撮影を行い、照射位置の微調整を行うことによって高い位置精度を担保した照射を可能としています。治療室内には患者さんの状況を確認するためのカメラとマイクが設置されております。緊急時には、体を動かすと危険ですので、声などの合図でお知らせください。直ちにスタッフが対応します。

放射線治療期間中の経過観察

照射期間中は週に一度、放射線治療医による診察を受けて頂きます。また看護師、放射線治療担当技師が毎日患者さんの状態をお伺いいたします。診察以外でもご希望があれば対応致します。体調の変化等がありましたらお知らせください。

副作用について

放射線治療は副作用を伴う場合があります。皮膚炎や粘膜炎、倦怠感など照射期間中に発症する急性期障害は照射終了後数週間の間に回復あるいは軽減します。照射終了後数ヶ月から数年経過してから発症する晩期障害は難治性であり十分な注意が必要ですが、障害の発現をできるだけ抑制するために正確な治療計画と照射を行っています。照射部位に応じて症状や発生頻度は異なりますので、初診時に放射線治療医、看護師から詳しく説明致します。

また、これらの確認のため、照射終了後も定期的に外来にて経過観察をさせて頂く場合があります。

治療中、治療後のケアについて

放射線治療中は普段どおりに生活していただいて構いませんが以下のことを心がけるようにしてください。

  • 十分な休息や睡眠をとるようにしてください。
  • くしゃみ、咳が出ると照射部位が定まらないため風邪をひかないようにしてください。
  • バランスのとれた栄養のある食事をとってください。照射部位によっては、刺激物等が制限される場合があります。
  • 入浴は皮膚に刺激をあたえない様に熱めのお湯や温泉は控えてください。治療している部位にマーク(印)がある場合は、消えないように注意してください。
  • 照射部位に直接日光が当たらないようにご注意ください。
  • 治療終了後も放射線による効果、副作用の観察が必要ですので、定期的に医師の診察を受けてください。

その他、照射部位や治療方針により放射線による副作用が異なりますので診察時に詳細な説明をいたしますが、不明なことや不安なことがあれば遠慮なくスタッフにご相談ください。

使用装置紹介

放射線治療装置 ElektaVersa HD

画像誘導放射線治療(IGRT)、定位放射線治療(SRT)、強度変調放射線治療(IMRT)、強度変調回転放射線治療(VMAT)も実施しています。

ほとんどの治療は、体表面光学式トラッキングシステム(CATALYST)とコーンビームCT(CBCT)を用いたマーカレスで実施しています。

通常はマジックインキなどで体表面に線を描き、位置合わせを行います。そのため、放射線治療期間中は消えないように注意した生活が必要となります。また、衣服に汚れが付着します。マーカレスはマジックインキを使用しないため患者さんの負担低減になっています)

また、CATALYSTを用いることで、体表面の動きをリアルタイムで観察でき大きな体動変化があった場合は、照射を中断し位置の再確認を行うことができます。

また、呼吸管理が必要な照射では、①ベースラインシフトが無い②再現性が高い③患者さんに触れることなくデータの取得ができるなど、とても優位な機能を有しています。

三次元放射線治療計画装置 RayStation

安全で高精度な治療計画を実現します。

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放射線治療計画用CT装置

Aquilion ONE(320列)を使用しています。一回転で16cmの範囲を撮影でき、ヘリカルCTの弱点である呼吸性アーチファクトを抑えた呼吸同期4DCT撮影が可能です。

また、Sentinelを用いて体表面の形と動きを取得することにより、患者さんが専用の装置を装着する必要が無く短時間で検査が可能です。

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放射線治療情報システム StablE-RIS(コセキ株式会社)

StablE-RISは照射情報、治療スケジュール、会計、統計等の統合管理を行うシステムです。バーコードを使用した照射回数チェックカードで、患者誤認を防止しております。

放射線治療実績

2022年度 2023年度 2024年度 2025年(4-12月)
放射線治療部門の新規患者数 227 184 212 220
放射線治療患者実人数 284 233 292 286

放射線治療部門の原発巣新規患者(新患実人数)

2022年度 2023年度 2024年度 2025年(4-12月)
脳・脊髄 0 0 0 0
頭頚部 (甲状腺を含む) 0 0 0 0
食道 27 13 11 14
肺・気管・縦隔 149 130 136 123
乳腺 3 5 19 47
肝・胆・膵 20 11 15 15
胃・小腸・結腸・直腸 27 25 30 19
婦人科 0 0 0 1
泌尿器系 0 0 1 0
造血器リンパ系 0 0 0 0
皮膚・骨・軟部 0 0 0 0
その他(悪性) 1 0 0 1

脳および骨転移治療患者実人数

2022年度 2023年度 2024年度 2025年(4-12月)
脳転移 28 25 29 22
骨転移 69 37 51 43