診療科

循環器内科

ペースメーカー治療とは?

はじめに

不整脈の中で、脈が遅くなる徐脈性不整脈の治療について解説致します。

対象患者さん

 心臓は通常毎分50〜100回で動いていますが、通常よりも脈が遅く、めまい、ふらつき、息切れ、意識消失などの症状を来たす場合ペースメーカー治療が必要となります。ペースメーカーは心臓が規則正しく動くのをサポートする医療機器で、1950年代から開始となり、既に約60年の長い歴史のある治療となります。

従来型ペースメーカーとリードレスペースメーカー

従来のペースメーカーというのは、本体を鎖骨の下の皮下に植え込み、リードと呼ばれる導線を心臓の中に挿入することで作動します(図1左)。リードから得られた心臓の動きを元に、サポートが必要な時はペースメーカーが作動するといった理屈になります。ペースメーカーも徐々に小さくはなってきていますが、やはり皮膚の上から触ればわかりますし、植え込んだ側の関節の多少の可動制限もあります。また、人によってはペースメーカーを挿入する血管がなく、従来型のペースメーカーが挿入出来ない方もいらっしゃいますが、そうした方に2017年9月よりリードレスペースメーカーが保険適応となり本邦で使用出来るようになりました(図1右)。従来型に認められた本体から心臓までを繋ぐリードがなく、右心室に直接ペースメーカー本体を留置するものとなります。長さは2.6cmで10円玉程度の大きさで、重さは1.75g程度しかありません。右鼠径部の大腿静脈よりシースを用いてペースメーカー留置を行うため、従来型で認められていた鎖骨の下の切開は不要ですし、表面からみてもペースメーカーが挿入されている事は全くわかりません。もちろん、全ての方にリードレスペースメーカーが最適であるというわけではありませんので、主治医にご相談下さい。

致死性不整脈に対しての植え込み型除細動器

不整脈の中には、突然死の原因となる致死性不整脈というものが存在します。心臓(特に心室)が痙攣し、心臓から血液が拍出出来なくなり心停止、全身への循環不全が起こります。そうした時はいわゆる電気ショック(電気的除細動)を行なって不整脈を停止させる必要があります。病院内で致死性不整脈が起きた場合であれば医療関係者もいますし、医療機器も備わっておりますのですぐに対応出来ますが、自宅や出先で致死性不整脈が起きた時はどうしても対応が遅れてしまいます。そうした時に植え込み型除細動器があれば、機械が自動的に不整脈を検出して治療を行い、突然死の予防に繋げられます。本治療法は高度の専門知識・技術が必要であるために、植え込み手術が実施できる施設が限定されておりますが、当院は施設認定をうけております。

重症心不全に対する両心室ペーシング治療

陳旧性心筋梗塞や拡張型心筋症などの心疾患で高度に心機能が低下している重症心不全症例のなかには、右心室側と左心室側との間で収縮のタイミングのずれが生じることがあります。もともと心臓のポンプ機能が低下しているにも関わらず、左右の同期が得られないことで、さらに心機能を悪化させることがあります。簡単なイメージとしては二人三脚をイメージしてみてください。どんなに一人一人が早く走る事が出来たとしても、二人の息が合わなければ早く走る事が出来ませんよね。一人一人が早く走れない上、さらに息が合わないとより遅くなってしまうわけです。心臓でこのような左右の同期が得られない時に行う治療としては、特殊なペースメーカを用いて右心室と左心室にペーシングリードを挿入し同時にペーシングを行うことで、左右の収縮のタイミングのずれを適正化し、心臓の本来のポンプ機能を改善させる治療が両心室ペーシング治療(別名:心臓再同期治療)といいます。本治療は、平成16年に厚生労働省より新たに認可され、心移植が普及していない我が国においては重症心不全に対する新しい治療として期待されています。本治療法も植え込み型除細動器と同様、高度の専門知識・技術が必要であるために、植え込み手術が実施できる施設が限定されておりますが、当院は施設認定をうけております。



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